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視座を上げるということ【ルールofルール】
視座を上げるということについて、仕事を進める中で大切なこととして語られることが多いと思います。iCAREもバリューの1つとして、「視座は上がらないか?」という文言が入っています。
視座は上がらないか?
仕事とは自ら機会を創り、その機会で成長すること。常に1つ上、2つ上の視点で事業を見つめていこう。
「視座を上げる」とはどういうことなのかについて、考えていきます。
「視座を上げる」とはどういうことか?
「上司の仕事を奪うように意識する」とか、「経営者の視点で考える」とか、視座を上げるという言葉についていろんな解釈をしている人がいるかと思います。
僕は「視座を上げる」ということは、「ルールofルール」を作れるようになることだと考えています。社会は、ルールofルールのループで回っているからです。
ルールを作るのは簡単です。
ところが、良いルールを作り、運用し続けることは難しいです。反発が生まれたり、形骸化したり、ミスが起きたり、状況が変化するにつれてルールが時代遅れになったりします。
そして、「良いルールを作るためのルール」を作るのは、さらにその数段難しいです。これができるようになることこそが「視座を上げる」ということだと思います。
ルールofルールとは?
ルールというのは「正しさを測るモノサシ」であり、「人間の意思決定と行動を左右する要因」です。例えば資本主義もひとつのルールですし、会社のビジョンとかクレドもひとつのルールだし、「フレックス制でコアタイムは10時から17時です」というのもひとつのルールです。
そう考えると、世界はルールメイカーの作ったルールの下で、また小さなルールを作るルールメイカーがいて、更にその下にまたルールメイカーがいるループの中に自分がいるという構造で捉えられます。
ルールメイカー
↓
ルール
↓
ルールメイカー
↓
ルール
↓
ルールメイカー
↓
ルール
↓
自分
上の方にいけばいくほど、現場の細かい話からは遠ざかり、空間軸・時間軸ともにより大きな範囲へ影響を与えるものになります。1番上は、「哲学」とか「思想」と呼ばれるレベルまで抽象化されるかもしれません。
株式会社のルールofルール
株式会社の場合は、株主が1番上のルールメイカーになります。
株式会社のルールofルール
株主
↓
ルール
↓
経営者
↓
ルール
↓
部長
↓
ルール
↓
マネージャー
↓
ルール
↓
リーダー
↓
ルール
↓
メンバー
↓
ルール
↓
顧客
「株主主権論」はオワコンと言われていたりもしますが、株式会社のルールofルールは理論上こういう構造になるのかなと思います。
経営戦略のルールofルール
経営戦略のルールofルールはこんな感じ。
ビジョン
↓
ルール
↓
ミッション
↓
ルール
↓
戦略
↓
ルール
↓
戦術
↓
ルール
↓
行動計画
↓
ルール
↓
従業員
これは株式会社のルールofルールと照らし合わせてみると、リーダーの役割、マネージャーの役割、部長の役割、経営者の役割というのがわかりやすいかもしれないです。
法治国家のルールofルール
法治国家のルールofルールはこんな感じ。憲法が1番強いルールになっています。
法治国家のルールofルール
憲法
↓
ルール
↓
法律
↓
ルール
↓
政令・省令
↓
ルール
↓
規則・条例
ちなみに、国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経て、国民投票で過半数の賛成を得ると1番上の憲法を改正できるルールになっています。
民主主義のルールofルール
民主主義だとこんな感じでルールがループしているのかなと思います。
民主主義のルールofルール
国民(民主主義)
↓
ルール
↓
議員
↓
ルール
↓
内閣総理大臣
↓
ルール
↓
大臣
↓
ルール
↓
地方自治体
↓
ルール
↓
民間企業
↓
ルール
↓
国民
実態は微妙に違うかもしれないですが、国民から国民にルールが返ってくるうまい仕組みになっていることがわかります。
ルールofルールを作る2つのコツ
ルールofルールを作る上で、何をどう考えて、何を決めればいいのか、いまいちイメージがつかない人が大半かと思います。以下2つのことを意識すると、ルールofルールは作りやすいのかな〜と個人的には思っています。
【1】1番上にあるルールの理解に徹する
ルールofルールのループのうち、1番上にあるルールが何なのか?を理解すると
ピラミッドの頂点のルールを理解すると、全体像が掴みやすいということです。
【2】アウトカム、プロセス、ストラクチャーを決める
アウトカム
・何をゴールにするべきか?
・KGI/KPIは何か?
プロセス
・毎日、毎週、毎月、毎四半期にすべきことは何か?
・ゴール達成に最適な手段の仮説は何か?
・どんな雛形やツールを活用するのか?
・誰がいつ何を集計し評価するのか?
ストラクチャー:
・誰が何に責任を持つのか?
・どんな会議で何を意思決定をするのか?
法律の条文や、企業の定款などを流し読みしてみると、大体こういうことが規定してあります。
チームをマネジメントする上でも、プランニングロジックを仕組み化して展開したり、コミュニケーションの構造を決めることが「ルールofルール」で再現性の高い仕事ができるチームを作ることになります。
とはいえルールの前提は崩れまくる
ルールofルールを作ることが、視座を高めて仕事をすることだという話をしてきましたが、とはいえVUCAの時代にはルールの前提が崩れまくります。
欠陥も多いルールの中で僕らは生きているのです。政府の意思決定がおかしな方向へ進むことだってあるし、憲法が時代錯誤になることもあります。会議室の中だけで1番上のルールを夢想するようななんちゃって哲学者にはバリューを出せないし、そんなルールに縛られていては変化に追いつけない難しい時代ということです。
変化の激しい社会の中で視座を高めるために必要なことは、「1番上と1番下のルールを行き来する姿勢」なのかなと思います。株式会社でいうと、顧客や従業員の視点から帰納的にルール設計する力と、株主や経営者の視点から演繹的にルール設計する力を縦横無尽に行き来できる人が1番強いということです。
ある意味、「視座を下げる力」が大切なのかもしれません。よくいうアジャイルやサーバント型リーダーシップというのは、ルールofルールの矢印を真逆にして集団行動の力学を逆転させることに他なりません。
1番上位概念となるルールを読み解き、目まぐるしく変化する実社会の中でルールをゼロベースで再構築していく。そんな「ルールofルール」が求められているかと思います。
例えば、最近iCAREではQA(Quality Assurance)エンジニアを採用し、プロダクトの品質管理をするQAチームを立ち上げているのですが、QAがQAとして機能するためには「QA of QA」という視点が不可欠だと思っています。品質管理の品質管理をするということです。
テストプログラムを書くこと自体はできても、本当に抜け漏れがない良いテストが作り続けられる仕組みを作ることはめちゃめちゃ難しいわけです。
100人を超える組織に必要なのは、「ルールofルール」を作れる人材だなぁと感じる今日この頃です。「良いルールofルール」で、普通の人が、無理せず成果を普通に出せる仕組みを作っていく必要があるのかなと思います。