「社労士免許」がほしかったけど、あきらめます
2020年度の社会保険労務士試験の合否が11月6日(金)に発表されました。3度目の挑戦でしたが結果は不合格。社労士免許への執着が自分の中でなくなったので、社労士を目指すことは今回を最後に辞めることにしました。
「社労士免許」を取得したかった3つの理由と、4度目の挑戦をしないと決めた理由をまとめます。
喉から手が出るほどほしかった3つの理由
僕が社会保険労務士という資格の存在を知ったのは、大学4年生の時に優秀な社労士・弁護士の方と仕事で関わったときでした。労働法のプロとして、当時悩んでいた「NPO法人における無償ボランティアの労務管理」について的確な論点整理とアドバイスをいただけていて、社労士・弁護士への憧れを抱くようになりました。
それから複数の社労士通信講座の資料請求をして情報収集し、社労士事務所でのアルバイトも行って、社労士免許取得を目指すことを決めました。主な理由は「①信用」「②専門知識」「③独占業務」の3つでした。
【1】年齢に左右されない信用を得たかったから
1つ目の理由は、若くても一定の信用を勝ち得るためです。何の実績も肩書きもない22才、23才の頃は主張しても若さが理由で相手にされないことがしばしばありました。その第一関門を突破する上で、「社会保険労務士」という国家資格の肩書きと専門性は役に立つだろうと考えていました。
ちなみに僕は新卒1年目で入社した会社を8ヶ月で退職しています。転職活動をすると大手はほとんど書類選考で落ちるので、一定の社会的信用を得るための努力をしていました。その1つが「資格取得」です。詳しくは『新卒1年目で転職する人のジョブホッパーラベル攻略法』にまとめているので参考にしていただけたら嬉しいです。
【2】人事労務のプロになりたかったから
2つ目の理由は、社労士試験が人事労務を実務面も含めて体系的に学べるためです。日本の産業保健・人事労務の市場で事業を創ることを目指していたため、人事労務のプロとして顧客の課題解決にコミットできる必要があります。人事労務の世界で難易度が高く体系的に専門知識を学べる資格が社会保険労務士だったため、社労士一択だなと思っていました。
【人事労務・産業保健関連の資格】
<国家資格>
・社会保険労務士
・衛生管理者(1種/2種)
<民間資格>
・メンタルヘルス・マネジメント検定(1種/2種/3種)
・健康経営アドバイザー/健康経営エキスパートアドバイザー
・給与計算実務検定(1級/2級)
・個人情報保護士
・ファイナンシャルプランナー(1級/2級/3級)
人事労務・産業保健関連の資格はざっと上記のようなものがありますが、難易度はぶっちぎりで社労士が高いです。合格率1桁台で必要な勉強時間は1,000時間ほどになります。
ちなみに他の資格も挑戦はしていて、衛生管理者(1種)、メンタルヘルス・マネジメント検定(2種)、健康経営アドバイザー、FP3級、医療経営士3級に合格しています。
【3】独占業務で事業を創りたかったから
3つ目の理由は、社労士の独占業務を利用した事業を創ってみたかったためです。社労士には社会保険労務士法で規定されている「1号業務」と「2号業務」と呼ばれる独占業務があります。お金をもらってこの業務をできるのは社労士のみになります。
【1号業務:手続き代行】
・労働及び社会保険に関する法令に基づいた申請書等の作成
・申請書等に関する手続き代行
・労働及び社会保険に関する法令に基づいた、申請、届出、報告、審査請求等の代理
【2号業務:帳簿作成】
・労働者名簿の作成
・賃金台帳の作成
・出勤簿の作成
・就業規則の作成
※上記は一例です
独占業務の1号業務の中には「助成金の申請代行」も含まれています。国の助成金の申請を代行して、成果報酬で20%ほど報酬をもらうサービスが多いです。
僕は2〜3年でカスタマーサクセスの思想をもった助成金申請代行の仕組みを構築して、仕組みとチームごと社労士法人に売却すれば20代前半で1億円ほどキャッシュを蓄えられるんじゃないかなと想定していました。社労士事務所でアルバイトをしていた時に、この業界はサービスが成熟しきっていなくてビジネスチャンスに溢れていると感じていて、この市場ならいけるという感覚がありました。事業売却を前提として開業する社労士はほとんどいないので、面白いキャリアかなと。
もちろん、他にも業務独占・名称独占のメリットはたくさんあります。
副業をするときに、専門性の高い仕事の依頼を高単価で受けやすくはなるでしょう。労働相談のアルバイト、社労士事務所のアルバイト、労務や社会保険に関する記事の寄稿、スポットコンサルなどの仕事ができます。
3度も挑戦した社労士をあきらめる理由
「①信用」「②専門知識」「③独占業務」のめに社労士免許がほしいと強く願っていて、社会人1年目〜3年目まで、合計3回受験してきました。1年目は500時間、2年目は1,000時間、3年目も1,000時間ほど勉強していたので、合計2,500時間と教材費や模試の受験費用で40万円ほど投資していることになります。
サンクコストが大きい分、来年も4度目の挑戦をした方がいいかなと思ってしまう部分はあるのですが、今年で最後にすると決めました。当初の社労士免許がほしかった3つの理由に対して諦めようと思ったのは以下の通り自分の状況に変化があったためです。
【社労士合格を諦める理由】
①信用:
ある程度実績を積んで、資格による肩書きに頼らずとも信用を担保できるようになってきた。
②専門知識:
合格せずとも労働・社会保険法令の専門知識を学ぶことはできた。
③独占業務:
社労士の独占業務以外のビジネスの方が興味があるなと思い始めてきた。
社労士免許に固執する理由が特になくなったため、やらなくてもいいかなと思うようになりました。
また、正直なところ試験勉強がものすごく苦痛だったというのが「もうやめよう」と思った経緯として大きいです。社労士試験の問題は重箱の隅をつつくような暗記問題が多いので、テキストに書いてあることはほぼ丸暗記して頭から出せる状態にしておかないと合格は難しいです。条文の細かい言葉のニュアンスの違いや起算日の1日のズレが選択式で出題されることもしばしばあります。
「そんなの暗記せずにググればよくない?」「もっと本質的な理解を確かめる問題の方がよくない?」と思ってしまう自分にとって、細部まで丸暗記する作業がとてもしんどくて、現実逃避しまくっていたのです。辛すぎて、何かおもしろいことやりたい欲求が抑えきれなくなって、3月に個人で事業買収するという社労士試験とは全く関係ないことに100時間ほど使っていました。あの時間も、モチベーションをしっかり維持して勉強を続けられたら受かっていたかもしれないのにと思ったりはしますが、そんな合理的に動けないのが人間です。
最近よく「人間っぽくなった」と言われるので、受験勉強中の自分は相当欲求を抑圧していてストレスを溜め込んでいたんだろうなと思います。
月100時間の浮いた工数で何しよう
社労士の試験勉強をやめると、毎月100時間の工数ががっぽり浮くことになります。この100時間を自由に使えるのが、最近楽しくて仕方ないです。
8月末に試験を終えてから、9月、10月は、好きな人とご飯に行ったり、控えてたお酒を好きなだけ飲んだり、しばらく挨拶できてなかった人にアポをとったり、自殺の勉強をしたり、友達の事業を手伝ったり、余裕ができて充実した毎日を過ごしています。水を得た魚のようです。
たっぷりエネルギーも充電できたので、本業とバランスを取りながらまた新しいことへの挑戦を楽しんでいこうと思います!
ちなみに、1年目はフォーサイト、2年目はアガルート、3年目は大原の社労士24を利用していました。合格していないので参考にならないと思いますが、個人的には「社労士24」が1番効率的に暗記作業ができるのでおすすめです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?