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「Broken Rage」はハードボイルドか?昭和コントか?謎の怪作
『Broken Rage(ブロークン・レイジ)』を、Amazon Primeにて鑑賞しました。
北野武監督の映画は、「その男、凶暴につき」を初めて観たときから強い衝撃を受け、ずっと追い続けています。北野監督は毎回非常に挑戦的な作品を生み出し、観客の期待をいい意味で裏切ることにこだわる監督ですよね。彼の作品は常に賛否両論を巻き起こしながらも、国際的にも高く評価されてきました。特に、世界的な映画賞を受賞した作品は素晴らしいものが多いと感じます。一方で、遊び心を前面に出した作品もあり、作品ごとの「当たり外れ」が大きいという特徴もあります。
今回の作品は、まるで北野映画を2つに分けたような構成になっていました。前半はシリアスでドラマチックなクライムサスペンス、後半は完全に振り切ったギャグコント。この明確な2部構成が新鮮で、とても面白かったです。
前半のクライムサスペンス部分は、手に汗握る展開で、短編映画として完成度が高かったですね。一方、後半はテレビのバラエティ番組を観ているような雰囲気で、まるで「おれたちひょうきん族」のタケちゃんマンのコントを彷彿とさせる内容でした。前半の尺が少し短く、もう少し長く見たかったという思いはありますが、後半は後半で別の楽しみ方ができる作品でした。
個人的には、こういった作品がもっと増えたら嬉しいですね。Amazonプライムなどの配信プラットフォームで、北野監督の新しい試みをどんどん観られるようになれば、昔からのファンとしても大いに楽しめると思います。
北野武監督の作品は常に賛否両論ですが、私は映画に対する許容範囲が広く、どんな作品でも楽しめるタイプなので、こういう実験的な映画も素直に面白いと感じました。今回の映画も、クライムサスペンスとしても、コント映画としても楽しめる作品でした。
映画『Broken Rage(ブロークン・レイジ)』は、北野武監督が手がけた約62分の日本映画で、2024年9月にベネチア国際映画祭で初上映され、2025年2月14日にAmazon Prime Videoで配信されました。この作品は、シリアスなヤクザアクションとコメディを融合させた二部構成の物語です。
あらすじ
物語は、主人公の殺し屋「ねずみ」(ビートたけし)が、警察に逮捕されるところから始まります。彼は、刑事の井上(浅野忠信)と福田(大森南朋)から、麻薬組織への潜入捜査を依頼されます。ねずみは、組織のボスである金城(中村獅童)に近づくため、様々な暗殺をこなしていきます。物語の前半は、彼のシリアスな任務を描いたクライムアクションです。
後半では、同じストーリーをコメディタッチで再構成し、セルフパロディとして展開されます。ねずみは、前半の緊迫した状況から一転、コミカルな失敗を繰り返しながら物語が進行します。この二部構成は、北野監督が「暴力映画におけるお笑い」をテーマにした実験的な試みとして位置づけられています。
キャスト
ねずみ:ビートたけし
刑事 井上:浅野忠信
刑事 福田:大森南朋
ヤクザの親分 金城:中村獅童
若頭 富田:白竜
このように、豪華なキャストが揃い、北野監督の作品には欠かせない顔ぶれが登場します。
制作背景
『Broken Rage』は、北野武監督が自身のキャリアを振り返り、シリアスな作品とコメディの要素を融合させることを目指した作品です。監督は、映画を通じて「お笑いと暴力の関係性」を探求し、視聴者に新たな体験を提供することを意図しています。
この映画は、北野監督の独自のスタイルを反映した作品であり、彼の二面性を表現する試みとして注目されています。シリアスな部分とコメディの部分が対比されることで、観客に新しい視点を提供することを目指しています。
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