お盆にやってきた父
お盆が近くなると、花屋さんに色づいた鬼灯が並びます。
私は子供の頃から鬼灯が大好きでした。 祖母から鬼灯はお盆にお浄土から帰って来る人が道に迷わないようにとの灯りだからねと聞いていました。花屋のお兄さんがおまけしてくれたので、我が家の小さな仏壇に多めに飾りました。
久しぶりに娘がやってきて食事のあと娘は自分のスマホを指で繰っていました。するとYahooのオークションサイトを私に見せました
そこには色褪せた「小説サンデー毎日」が一冊
売りにでてました。「調べたらこのなかにおじいちゃんの作品が載っているのよ」と言い娘はそれを落札しとのこと、この四十年以上も前のこの古い雑誌一冊にどうして娘が
ひかれたのか不思議でした。
父が逝って三十三年、もう家族の頭から消え去ってもおかしくない年月が過ぎました。
娘は父の初孫で愛情たっぷり注がれた子で多分天国のおじいちゃんからテレパシーがあったのでしょう。
父は高校の教師をし、 その傍らライフワークとして小説を書いており、ときには時代小説のコンクールにも応募しておりました。
この小説サンデー毎日は(第二回サンデー毎日新人賞候補秀作特集号)で父の作品「水戸の落日」はそのなかにありました。
その後、昭和四十八年第三回サンデー毎日の新人賞に応募し「宿場の女」で入賞したのでした。その時の賞状、授賞式の写真断は捨離はしないはずだと探し出しました。
副賞の大名時計を模した置き時計は振り子は動きませんが、電池を替えると今でも時を刻んでいます。
この古くなり赤茶けた掲載誌を今まで持っていてくださりYahooのオークションに出してくださったことにより、 父はお浄土から会いにきてくれたのです。
16日は枝豆とビール、 大好きなお蕎麦を食べて送り火とともにお浄土へ帰りました。
いつもと違う不思議なお盆でした。
ちなみに雑誌の希望者は娘一人だったようです。
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