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       今年のさくら

        
 おちつかないコロナ禍の三月、さくらが例年より早く咲き出しました。
開花宣言があってから、今年はどこのさくらを見ようか、いつ頃満開かしら
あっち、こっちを下見をしました。なにしろ庭園が閉鎖されて、枝垂れさくらは
見ることができません。業平の「………春のこころはのどけからまし」の心境でした。

上野のさくらは樹下のブルーシートは無く、食べ物のにおいもなく、タンポポが咲き乱れていました、一方通行でゆっくり眺めることができました。
 翌日、近くのお寺の紅枝垂れさくらを友人とジスタンスを取りながら眺めました。枝は地面にとどくほどで濃いピンクの花が咲き誇り、風に乗って花びらが舞い上がるさまはさくらの精が舞い上がっているようでした。

 小さな公園には老夫婦が車椅子できていました、去年まではお二人揃ってきてましたが、今年は車椅子に乗ったおじいさんと一緒でした。
花曇りの日は冷えますねといいながら、ご主人の膝掛けを直しながら、花冷えねとおじいさんに話しかけていました。
来年も、次の年もお2人で来られることを祈りました。

 さくらの花は一年中でほんの一時ですが、多くの日本人が心を寄せ、自分の
来し方、行く末を思うことでしょう。


# 花見  # 業平  #ほんの一時