小さい秋
道路を挟んだ向かい側の小さい空き地に、真っ白い手のひらほどの花
が咲いていた。気高く周りの雑草を見下ろしているように咲いている。
芙蓉である。 朝、開花すると夕には絞んでしまう、はかない一日花であるが
それ故にその白さと大きさが目に染みる。
カヤツリグサ、エノコロクサ、カルカヤ、紫色の実をつけたヤマゴボウも陽当たりがいいせいか、それぞれが生き生きしている。
カヤツリグサは茎を二人で、引き合うと、蚊帳を吊るときのような四角になる。今は蚊帳を知らない子どもがほとんどであろう。松葉を引き合って勝ち負けを決める一寸した遊びが懐かしい。
都心の駅近くのこの住宅地の空き地、おととしの今頃はまだマンションのモデルルームがあった気がする。マンションは完売したのかモデルルームは撤去され、空き地となった。おかげで私は懐かしい秋を見つけることができた。
芙蓉はそれそろ種をつける頃になった。