8月5日 43㎞+1000mくらいか
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9時半出発。5kmほど下ると小さな村があった。先の方に峠が見える。+150mくらいだ。あの峠を越えれば、あとは理塘まで、軽いアップダウンはあっても、きつい上りはないだろう。午前中とはいかないけど、15時までには着くだろう。+150m、30分ほどで到着。が、しかし、なんと、まさか、道はさらに上の方に続いてる。どう見てもあと200mはある。ここが峠ではなかったのか。
気を取り直して、さらに上り続ける。11時峠着。標高は4,300mくらいか。あとは理塘まで下るだけ、と思っていたけど、30mほどの上ったり下ったりを繰り返しながら2時間程走り続けて、13時。再び上りになった。まだ峠があるのかよお。ホント辛い。思いっきり口を開けて、息を吸ったり吐いたりを繰り返しながら、上っていく。「ふう」「ハッ」「ふう」「ハッ」「ふう」「ハッ」。1時間上ってやっとタルチョが見えた。
チベットでは、タルチョという赤・青・白・黄・緑・オレンジの布をひもに付けたものを、峠などに飾る。14時20分峠着。緑の草原、青い空、白い雲にタルチョが映える。ここから10kmほど、峠と同じくらいの高度の所を道が走る。とても快適な区間だ。草原に牛や馬やヤク、スイスのような風景が広がる。というか、我々日本人は、スイスを見て、チベットみたいだと言うべきだと思う。わざわざ高い航空運賃、高い滞在費を払ってまで、スイスに行かなくてもいいと思う。この景色はスイスとなんら変わりない。でも、ホテル、レストラン、草原へのアクセスはスイスとは全然違うけど。
15時、下りに入る。道は悪いが、景色がいいので、快適だ。理塘には17時までには着けるだろう、と考えながら下っていると、20分程で谷間の美しい村に着いた。ん?谷間?ということはまだ上りがあるの?・・・・もちろんです。・・・向かいの山に目をやると、ちゃんと上りの道が続いて見える。参った。17時までに理塘に着くと思っていたけど、18時を越えるかも。まっ、暗くなる前に着けばいっか。
谷間の村を通り過ぎ、理塘を目指してさらに上り始める。ゲッ、脚が異常にだるい。こりゃだめだぁ。かなり脚にきている。まだ、15時半だが、今日はここに泊まろう。・・・理塘まであと50km。
ここの夕食はとてもおいしかった。まさかこんなど田舎でこんなにおいしい食事を食べることが出来るとは思わなかった。ついつい食べ過ぎて、夜中にトイレに行きたくなった。トイレは中国式。うんこが積み重なって、足元まで来ている。もちろん、ぶち臭い。ちなみに、「臭い」という字は「自」分の「大」と書く。これは、臭いのは他人の「大」だけじゃなく、自分の「大」も臭いのだ。自分の「大」はいつも匂っているから慣れているだけであって、他人にとっては自分の「大」もとても臭いのだ。という戒めを込めているのだと思う。話はそれたが、そのぶち臭いトイレに息を止めてしゃがみ込む。しまった!ここは標高4,000m。息を止めると、その後、思いっ切り3回呼吸をしなくちゃいけない。こんな臭い便所で3回も思いっ切り呼吸をすると、鼻毛に臭いが絡み付いてしまう。かといって、口で息をすると、口の中の唾液に臭いが溶け込んでしまい、唾液が酸っぱくなってしまいそうだ。とっさにシャツの首を引っ張り鼻を覆い、シャツをフィルターにして息をする。なんとか耐えることが出来た。そしてふんばって、うんちを出す。このとき、息を止めてふんばるので、出した後にまた、大きく3回呼吸をする。高山病で死んでしまった人の中には、トイレの中で死んでしまった人もいるんじゃなかろうかと思ってしまう。4,000mではうんちするのも命がけだ。
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