『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』

*地方の医師会報2021年2月号向けに書いた随筆の転載です
 2020年はコロナに始まりコロナに終わり、1年分の時間経過があやふやです。思ったよりも早くワクチン開発が進んで先が見えてきたところでの感染拡大という状況で、年末年始にこの原稿を書いています。
 今回は、医学書以外の医学関係の書籍は紹介しないというマイルールを破り、以下の本をご紹介致します。新書です。電子書籍もございます。
『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』日経プレミアシリーズ
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/26450
 そもそも何故、医学関係の一般向け書籍を紹介しないのかというと、根拠に乏しい内容が含まれている事が多いからなのですが、この本は違います。アメリカの国立衛生研究所NIHで研究されている免疫ウイルス学者で病理学の専門医である峰宗太郎先生に対して、日経ビジネス編集部 シニア・エディター山中浩之氏がインタビューする、対談形式の本です。積極的にツイッターで発信されている先生で、フォロワーは5.4万人(2020年末時点)、私もフォローしています。私は対談形式の書籍は苦手なのですが、この本はインタビュワーの方が適切に話をまとめ、かつ、一般の方が何を疑問に思い、何処にひっかかっているのか、適宜質問してそれを解消しつつ進むので、読むのが苦になりませんでした。タイトルがいかがわしい雰囲気を漂わせ、一般には知られていない著者の本という事で、手に取られずに済まされてしまうと、大変勿体ないという思いで、「コロナ太りを反省して10kgダイエットしました」、という話を書きかけていましたが、急遽こちらに差し替えることと致しました。
 ウイルスや免疫、ワクチンの基礎から始まって、核酸ワクチン、PCR検査に関する話題もあります。COVID-19に関する情報を整理する上で有用な書籍です。最後に情報への接し方についての考え方が示されて、解題されています。一般の方の受け止め方と、それを解消するためにどのように説明するべきか、リスクコミュニケーションの観点から、医師にも有用と思われますし、耳の痛いところもございます。
 なお、書籍なので、若干古くなっているところもあり、ワクチンの最近の情報に関しては峰先生(=ばぶ先生)も登場されている以下の動画をお勧め致します。動画も私の苦手とするコンテンツなのですが、2時間があっという間でした。
【Taka&ばぶに聞く】話題の新型コロナワクチン打つ前に知っておきたいこと「ヅマニュース」#7
https://www.youtube.com/watch?v=v6AnCELXV4Q
 2021年がCOVID-19克服に向けての人類の一歩を記す年となることを祈りつつ。

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