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スーパーボウル2019広告で学ぶアメリカ
マーケティングの人だけでなく、アメリカマーケットを把握したい人はぜひ、スーバーボウルを違った角度から楽しむのはいかがでしょうか。
当方、全くアメフトについて詳しくないのですが、アメリカでスーパーボウルのコマーシャルにハマり、かれこれ3年リアルタイムで見続けています。
スーパーボウルの広告を楽しんで、アメリカを理解すべく、スーパーボウル概要、どんな広告の傾向があるのか、今年の注目CMは何かを簡単にまとめます。
スーパーボウルとは
スーパーボウルとはアメリカのNational Football League (NFL)が主催するアメフト全国大会の決勝戦のことを言います。今年は、昨年の覇者であるニューイングランドペイトリオッツvsロサンゼルスラムズの戦いです。
1年に1度、2月の第1日曜日に試合が行われ、今年は53回目となります。アメフトはもともと人気のスポーツですが、決勝戦ともなれば視聴率約50%となり、アメリカで1番見れられているテレビコンテンツとも言われています。
(今年の会場はジョージア州アトランタにあるメルセデスベンツスタジアム。日本との時差は14時間。画像転載元)
注目なのは試合だけではありません。第2クオーターと第3クオーターの間に行う、ハーフタイムショーでは、レディーガガやビヨンセ、ブルーノマーズなど大物歌手が試合を盛り上げるのでも有名で、アメフトの大ファンでなくても注目している試合なのです(2019年はマルーン5)。
また、テレビ放送では試合の合間にコマーシャルが流れるのですが、これだけの視聴率とあり、広告掲載費は30秒500万ドル(5億円強)かかると言われます。
これだけ注目されているので、マーケティングという観点だけでなく、アメリカマーケットの嗜好や流れなどがわかる注目のイベントだと思います。
それではどのような企業がどのような内容の広告を出しているのかまとめてみます。
どういった企業が宣伝しているのか(傾向)
まず、宣伝している企業の傾向です。私の過去3年間の観測からすると、基本的には老舗大手企業による広告がほとんどです。広告費も膨大なので納得ですが、以下のような業界、ジャンルが毎回目立ちました。
・自動車メーカー(Ventz、Hyundai、Jeep、Toyotaなど)
・情報通信(Tモバイル、Verizonなど)
・飲料メーカー(ペプシ、コカコーラ、Bud light、Budweiserなど)
・ジャンクフード系(Dritos、プリングルス、M&M's、Skitlesなど)
・季節要因系(2018年はオリンピック、確定申告ツールのTurbo Tax、映画予告など)
・新興系(Nest、Fitbit、Amazon、Grouponなど)
同業者の広告がバンバン流れるのも、なんだか新鮮ですね。新興系のブランドは、もうスーパーボウルに広告出せるくらいになったのかとその成長ぶりを再確認させられます。
次に広告の内容ですが、すでに知られている大手企業(とその商品)の広告が多いためか、今更商品のバリューを伝えて売ろうといった広告はほとんど見ません。つまり、売り重視のプロモーションよりはブランディングの要素が強いと思います。
見せ方の種類としてはクール系、ギャグ系、問題提起系、有名人起用系などがあるかと思います。最近ではソーシャルメディアなどでの拡散を狙って、ティザー広告を出したり、試合前も後も話題になるような広告を作っている企業も見られます。
今年の注目したいCM
この時期、スーパーボウルのコマーシャルについてだけ取り上げる記事やニュースがたくさん出ています。その中で、気になったコマーシャルを、前述のカテゴリーに当てはめてながら紹介します。
1. Amazon "Not Everything Makes the Cut" - 新興系xギャグ系
アマゾンアレクサをいろんなものに入れてみるもうまくいかなかった様を面白く見せています。犬の首輪にアレクサを入れたというカットではなんとハリソンフォードが出演しています。
タイトルの「Not everything Makes the Cut」は全てうまく行くわけではないという意味です。冒頭でアマゾンの社員が「電子レンジへのアレクサ導入はうまくいったけど、実はたくさんの失敗があったのよ」と話していました。
(犬用アマゾンアレクサを駆使する(?)飼い犬と、吠えまくる犬に対して「それ以上吠えるとドッグフード買わんぞ」と怒るハリソン。これで映画作れそう。画像転載元)
アマゾンのような大手テック企業であっても、その成功の裏にはたくさんの失敗があるというようなメッセージが込められているのだと思います。それでも失敗を面白く、その経験を大々的に発信していけるのは先進的なブランドらしいのではないでしょうか。
2. Budweiser "Wind Never Felt Better" - 飲料メーカーx問題提起系
バドワイザーは毎度、クールな感じの印象です(よく馬が出てくる)。今回いはビールを風力発電で作っているという環境問題への取り組みをメッセージングしています。
食品だけに限らずサステイナブルなものが指示を呼ぶ昨今、それを意識した広告なのではないでしょうか。
3. Jeep "Big Game Blitz" - 自動車メーカーx?系
こちらは壮大なテーマでカテゴリーが分けにくかったのですが、アメリカの愛国心に訴えかけるような内容です。Youtubeコメント欄には「泣いた」「Jeepありがとう」など感情を揺さぶられた書き込みがたくさんありました。
人気グループのOneRepblicが歌うアメリカ国家「The Star-Spangled Banner」をBGMに、テンポよく様々なシーンがフィーチャーされます。
アメリカ軍兵士や警察、宇宙飛行士、消防士、そしてJeepといったアメリカで功績を納めてきた人たち、都会でも田舎でも何歳でも人種・性別がどうであれ、様々な人の様子が切り取られています。
どんな人であれ、「自分たちが本当に誇りに思っているアメリカは」ということを考えさせられるような広告なのではないでしょうか(愛国者=Patriotsということでペイトリオッツ推しの広告なのでしょうか)。
見入ってしまいます。
まとめ
スーパーボウルはアメフトがわからなくても非常に面白いイベントです。スタジアムでの観戦はチケットは何十万もするそうなのですが、多くの人はスポーツバーや自宅で楽しんでいるようです(そのおかげでこの日はビールやピザ、チップスが売れる)。
アメリカは非常に大きい国なので、日本と比べて全体の流れが把握しづらいと感じます。しかしながらスーパーボウルはアメリカでも1億人以上が視聴するビッグイベントであり、そこで取り扱われる広告は多かれ少なかれ今のアメリカを描写しているのではないでしょうか。
どういった業界が全国級にブランディング強化しようとしているのか、どんなメッセージを出しているのか、またそれらに対する反応などからアメリカについての理解を深められると思います(ギャグ系は侮れない。数も多いし、ユーモアのセンスは異なるので)。みなさんもスーパーボウル観戦していて気づいたアメリカのこと何かあったら教えてください!
完読お疲れ様でした。ありがとうございます。
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