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空を見上げれば

旅の楽しみのひとつは、日常を離れて旅先の風景を
眺めること。中でも、移りゆく空の様子に惹かれる。
空模様により、風景の見え方も大きく異なる。雲の間
から太陽の光が差し込んだり、空一面を雲が覆ったり、
雲が刻一刻と姿を変えることもある。自転車での旅
では時おり空を見上げて、その風景を楽しんでいる。


郷ノ浦港のオブジェの向こうに広がる空
雲は大きな空をさまざまな形で覆い
水平線へと続いていく
太陽の光は水面を照らし
雲を立体的に浮き立たせる
夕日は鮮やかに空と水面を染め
風景の中に溶け込んでいく




今回の日経新聞の文化面の特集は、空を見上げて十選。
壱岐の旅で見上げた空を思い描きつつ楽しんでいる。
現在八選までで明日に完結する。残る二つも楽しみだ。

(1) コンスタブル「雲の習作:木々の地平線」

雲は絶え間なく変化し、見上げる者を魅了し続ける



(2) ジョルジョーネ 「嵐」

静けさの向こうの空には、時間が閉じ込められている


(3) 作者不詳 「日月四季山水図屏風」

雲はうねり湾曲し、海は波打ち動いていく


(4) クロード・ロラン 「シバの女王の乗船」

雲間から差し込む太陽の光の風景


(5) ターナー 「奴隷船」

太陽の光に崇高さと美しさを感じる


(6) ゴッホ 「糸杉と星の見える道」

夜空の下の光は、水面で幻想的に揺らめいている



(7) ホイッスラー 「黒と金色のノクターン」

水面に映り込んだ光が、海の上にカテドラルを作り出す


(8) 古賀春江 「海」

空には白い雲が浮かび、海には白い灯台が映る



せっかくなので(9)(10)も。
(9)イヴ・クライン「青のモノクローム」

(10) ルネ・マグリット「大家族」


空を見上げて。旅が終われば日常が始まる。そしてまた
日常の先の旅に出よう。空を見上げれば、旅の風景が
思い出される。あの空の向こうには、まだ見ぬ風景や、
いつか見たことがあるような風景が待っているはず。

日常の空。紅葉し散りゆく葉の向こうに、秋の空が広がる
空を見上げれば。この空はどこかにつながっている


旅の中に日常を、日常の先に旅を。
日々は途切れることなく続いてく。

空を見上げれば、いつか見た風景に、
どこかでつながっていると思える。

日々は必ずしも平坦ばかりではない。
その時は、広がる空を見上げてみよう。

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