ドロップス。
「ねえ?愛があるとするなら、私達の愛っていくつあるのかな?」
彼女は一昨日見た映画の影響を受けたのか、ドロップスを逆さまにして僕に聞いた。
「君と僕とので、ふたつじゃないかな?」
僕は大して考えもせず、彼女に答える。
カラカラと音をたてて、なかなか出てこないドロップスに、彼女は少し泣きそうな顔をしながら、彼女は続けた。
「私もそう思うの。でも、ということは、君と私の答えは、ひとつってことだよね?」
缶の穴を覗きこむ彼女の手から、僕は缶を受け取り逆さまにして振ってみる。
彼女は両手を差し出して、楽しそうに待っている。
カランといって音は止み、彼女は嬉しそうに僕を見て言う。
「ねぇ?こういうことかな?」
彼女の手に落ちたピンク色をしたドロップスは、ふたつがくっついていて、ハートのように見えた。
彼女はそれを口に入れると、離れないように優しく舐めた。
「甘い。」
彼女は笑って僕の顔を見る。
僕はつられて少し笑うと、彼女の頭をくしゃっと撫でた。