止まない雨はないということは、消えない虹もないということ。
汗をかいた君の背中に手を回すと、どこまでも行けるような気がした。
けれどやはりそれは気のせいで、私はいつも自分の勘違いに絶望をする。
そして、その度に私は涙を流してしまうのだ。
「止まない雨はない。」
「雨の後には虹がかかる。」
そんなことは知っている。
そしてそれが、慰めにならないことも知っている。
彼が私ではない女と過ごす時間が雨だとするならば、時間を共有できることが虹で、止まない雨はないということは、消えない虹もないということだ。
雨は必ず止むし、虹は必ず消える。
雨が止むことが問題解決になるのではない。
虹も必ず消えるということを、忘れないようにしなければならないのだ。
私は勘違いをしてしまう。
どこまでも行けるような気がする時は、いつだって幸せな時なんだ。
虹の根元が見えないように、私は遠くを思い描くのかもしれない。
私は耳元で息を切らせる彼の首に手を回すと、彼に聞こえないように小さくため息をついた。