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【NPO書評】しんどいから おもろいねん

前にも投稿しましたが、山田のFacebookのタイムラインで、福祉系の方々(特に関西方面)がお勧めの本として度々投稿していたので、気になった本です。
気になりつつ、まったく内容も知らず、下調べもせずに、読んでみました。
本のタイトルやカバーのイラストのイメージから、たぶん、お笑い本だと思っていました。

でも、まったく違っていました。
いろんな人の人生がつまった本でした。
読んでいて、ほろっとしてしまうようなエピソードやくすっと笑ってしまうような出来事、そして人生を取り戻そうとする人と、彼・彼女らを応援する人々の思いが満載の本でした。
お笑い本ではありませんでしたが、心と顔が思わずにっこりしてしまう、困難の先にある希望に満ちた本でした。

ソーシャルや社会課題に興味関心がある方にこそ、ぜひ読んでほしい本です。
社会課題などをカテゴライズする前に、地域に生活している人がいて、どんな暮らしをして人生を歩んできたのかを垣間見ることができる貴重な本です。
課題の分類の前に人のことを思うことが本当に大切だと思えるものです。
山田も自省をしながら、この文章を書いています。

しんどいから おもろいねん
2024/5/20
野々村光子 (著)

読み終えて、あらためてAmazonの紹介などを見ました。
本書は、「コトノネ」という障害者就労系の福祉関係の雑誌に連載されていたものを書籍にしたものです。
著者の野々村光子さんは滋賀県東近江で障害者就労支援センターで「はたらくことの応援」をされている方です。
本書は、著者がこれまでに出会った方々とのお話をエッセイとしてまとめたものです。
単に「障害者の就労支援」ということではなく「はたらくことの応援」というのがいいですね。
就労支援がゴールではなく、本人の思いを応援することが大切です。
世間や家族から問題と思われている方も、じっくり付き合っていく中で、その人の困り具合を知り、絡まったものを丁寧に解きほぐしていく姿勢に共感しました。
福祉の制度や仕組みの前に、一人一人に、そしてその家族に向き合って、丁寧に付き合っている様子をここまで読ませる文章にして仕上げていくのはすごいですね。
これまで福祉系の本もいろいろ読んでいますが、いままでにないエッセイ集です。
すごく面白いです。

まだ読んだことがない方は、ぜひ読んでみてください。
山田のように、実際の現場体験がない方にこそ、地域での実践を知っていただく機会になります。
先日紹介した、麻布競馬場さんの小説「令和元年の人生ゲーム」に登場するZ世代のような人にもぜひ読んでほしい一冊です。


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