【NPO書評】婚活マエストロ
婚活マエストロ
2024/10/25
宮島 未奈 (著)
ベストセラーとなった「成瀬は天下を取りにいく成瀬は天下を取りにいく」の著者の新作が、オーディオブックのAudibleにあったので、早速読んでみました(聴いてみました)。
成瀬シリーズのような「地域もの」「青春・学園もの」とはまったく違ったものでした。
今回の主人公・登場人物は中高年。
40歳独身男性のWebライターが主人公で、婚活パーティーの取材をきっかけに、婚活に参加したり、婚活パーティーのお手伝いをするというお話です。
そこに、本書のタイトルの通り、「婚活マエストロ」とネットで噂される婚活パーティーの司会者も登場人物として加わり、主人公との交流が進んでいくというものです。
ある意味、恋愛小説でした。
成瀬シリーズと同様にテンポよく、話が進んでいくので、楽しく読み進めていくことができます。登場人物の微妙な感情を描いていくのがうまいですね。ただ、成瀬のような強力な主人公が出てくるという話ではないので、成瀬の痛快さを求めているとちょっとイメージが違うかなと感じです。
でも、読み進めていくと、どんどん話に入り込んでいくことができます。
婚活パーティーで初めて会った者同士をどうコミュニケーションができるようにサポートをしていくかという点では、たぶん、NPOのワークショップの参考になります。
そういう視点でも、きっと楽しめる物語です。
とても印象に残ったエピソードとして、婚活パーティーで最初のトークタイムで、婚活マエストロは、アラームを使わず、ストップウォッチを使うという話がとてもよかったです。例えば、3分間のトークタイムで時間を計る時に、3分間のアラームではなく、ストップウォッチで3分間の時間を計っていくということです。なぜなら、アラームの場合、時間がどんどん減っていくのに対して、ストップウォッチの場合は、二人のコミュニケーションの時間がどんどん積み重なって、時間が増えていくのがよいということでした。
こういう考え方、いいですよね。
ワークショップでもアラームで時間がどんどん減っていくのに対して、ストップウォッチでディスカッションの時間が積み重なっていくイメージの方が適していると思いました。
という感じで、きっとNPO活動に参考になることをここから学ぶことができます。
あと、単純に気軽に読むのに、宮島 未奈 さんの小説はいいですよね!