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【NPO書評】みどりいせき

三島由紀夫賞、すばる文学賞などの文学賞を受賞して話題になっていた小説がオーディオブックのAudibleで見つけたので、読んでみました。

内容については、ほとんど先入観なく読み始めました。
高校2年生の男子生徒が主人公の物語です。
ステレオタイプですが、今どきの10代の、とあるケーススタディを覗き見しているような感覚でした。
学校に居場所がなく、孤独を抱えている主人公が小学校時代の親友に再会するというお話しです。そこから、主人公はまったく意識なく、違法薬物の世界に取り込まれていきます。

実際の若者がこういう状況なのかわかりませんが、話し言葉で綴られた小説にリアルを感じました。特に、主人公の内面の声と実際のコミュニケーションとして発せられる声が入り混じって描かれているのがすごく面白いです。あまり会話をしていなくても、その裏側で本当にいろいろなことを考えているのだということが表現されています。
また、薬物で意識が飛んでいる時の描写など、こういうものなかと思わせる筆致がすごいですね。

あと、今回はオーディオブックでしたが、紙の本ではレイアウトそのものがぶっ飛んでいるようです。

みどりいせき


2024/2/5
大田 ステファニー 歓人 (著)

ちなみに、山田の世代(1970年代生まれ)で地方出身だと、10代後半はちょうど平成の始まり。まだヤンキー文化が残っていた時代でした。
違法薬物といえば、周囲でも、あるいは漫画、ドラマで取り上げられていたのはシンナーでした。シンナーでラリッている様子は少なからず見たことがあります。

でも、令和の若者の場合、こんな感じで違法薬物との接点がうまれていくんだなと、令和のリアルを感じました。
テーマがそんな風に注目されてしまうかもしれませんが、それを超えて、今の若者の内面を表現する手法として、小説が活用され、こんな風に表現されているというのが、すごいですね。
平均的な若者像が主人公ではありませんが、今の空気感を理解する参考になります。

これは、若者支援をしているNPO関係者には、必読の小説だと思います。
最初は、物語の世界に入っていくのにちょっと手間取りましたが、この文体になれてしまうと、若者コミュニティの中に入っているような感じがしてきました。なんか仲間意識が芽生えてきて、物語の先が気になってしまい、後半は一気読みで読み進めてしまいました。


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