【NPO書評】義経記 (現代語で読む歴史文学)
「勧進帳」を巡る旅。
先日、舞台で現代版の「木ノ下歌舞伎:勧進帳」を見て以来、あらためて「勧進帳」への興味がふつふつと沸き立っています。
今週末は、歌舞伎「勧進帳」の元ネタとなっている、能の「安宅」を見に行く予定です。
ちなみに、勧進帳の舞台となった、石川県小松市の安宅関には、2020年2月に行きました。
ここまで「勧進帳」熱を上げているなら、大元のネタである「義経記」を読まざるを得ません。義経記は、名前の通り、源義経を主人公にした歴史ものです。
能の「安宅」もこの義経記の中のエピソードがもとになっています。
義経記 (現代語で読む歴史文学)
2004/6/1
西沢 正史 (監修), 西津 弘美 (翻訳)
義経記は、日本史の参考書で覚えた記憶があります。
存在は知っていても、わざわざ読もうとは思っていませんでした。
でも、「勧進帳」を極めんがために読みましたが、実に面白い物語でした。
現代語訳ですごく読みやすかったというのもありますが、物語の構成もすごく良かったと思います。
前半は、アドベンチャーもので、少年の成長譚で、成功・栄華の道を駆け上がっていく姿にワクワク、ドキドキさせられます。一転、後半は破滅への道を進む義経とその周辺の人々に涙を誘われます。
ちなみに、源義経が上京した後、西に下って平家討伐をするお話はばっさりカットされていることに驚きました。そちらは、平家物語に譲っている感じです。
義経記を読むと、安宅関の関守・富樫の心変わりが少し理解できた気がします。
昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていたということもありますが、源頼朝やその取り巻きなどの政治的駆け引きなどを考えると、源義経の捕まえることがそのまま手柄になるというものではなく、場合によっては災いになるということもあるのがこの時代の常識だったようです。
ちなみに、義経記では歌舞伎の「勧進帳」のような、まとまったエピソードはありませんでした。いくつかの要素を寄せ集めて、独自のお話しにしているということがよくわかりました。この辺の状況は、能「安宅」を見て、しっかり確かめたいと思います。
寄付マニア中のマニアのみなさんにお勧めする物語です。