【NPO書評】「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
先日紹介した書籍『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者の本です。
今回の本は情報発信術や文章術の内容でした。
読み物として面白く、かつすぐに実践できる内容でした!
著者の三宅香帆さんは、書評家、作家で大学の講師もされている方です。そして、アイドルと宝塚の熱狂的なファンです。
「推し」のことをいかに伝えていくのか?
具体的に、分析して、分解して、その要素を体系的にまとめて、解説している本です。
自分の好きなものをどう伝えるのか、表現するのかというノウハウをまとめたものはあまりないと思うので、とても参考になりました。
本書の中で、好きなものや推しに関する文章を書いたり、しゃべったりすることを「推し語り」として表現しています。
著者が書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめたものです。しかも、SNS発信・ブログ・ファンレター・友人とのおしゃべり・音声配信などの発信方法ごとに、自分の言葉で感想を伝える技術を解説しているものです。
これを読みながら、「推し」=「応援しているNPO」と置き換えて、活用できるのではと思いました。「押し」について語るように、自分が応援しているNPO、寄付をしているNPOについて、語る文化ができるといいなと思いました。そんな妄想を考えるのに、とても刺激的な内容でした。
「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない (ディスカヴァー携書)
2024/7/31
三宅 香帆 (著)
いろいろな方法が紹介されていましたが、推し語りの方法として、例えばステージであれば、全部を語ろうとせずに自分が心を動かされた部分(いい意味でも、悪い意味でも)をこまめにメモを取っておくこと。なぜ、心が動かされたかの感想もメモしておくこと。そういったメモをもとに文章を書いていく。全体ではなく、細分化した感想が自分のオリジナリティになる。
また、そういったストックが、推しに関する記録となり、自分が心を動かされるポイントの分析の素材になり、自分の好きがよくわかることにつながっていく。
自分の中のメモとして記録に残しておくこと。それは自分の歴史になる。自分がどんなものに感動していたのかの記録になる。
外に向けて発信する時は、読み手を想定し、読み手の知識量も考えた上で、マニアック度を調整していくこと。そこはコミュニケーションとして大事な点である。
あと、著者はアイドルなどにファンレターを送っているそうですが、ファンレターも「推し語り」の一つのメディアとして解説しているのがとても面白かったです。なるほどと思いました。
本書全体を通して、書評家として活動しているノウハウや知見、経験をふんだんに披露してくれています。その本を読んだことがない人に向けて、本の内容を紹介しつつ、その本のすばらしさを語る方法は、NPOの支援者がそのNPOについて語る方法に応用できると思います。
「推し」がいるNPO関係者のみなさん、ぜひお勧めします!