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【NPO書評】武道館 (文春文庫)

武道館 (文春文庫)
 2018/3/9
朝井 リョウ (著)

この1年間で武道館に行くことが複数回あったので、武道館という言葉がよく目に着くようになりました。
オーディオブックのAudibleでまさに「武道館」という本を読んでみました。
ベストセラー作家の朝井リョウさんの小説です。
朝井リョウさんの本は「正欲」に続いて2冊目です。

結成当時から「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。そのメンバーの一人が主人公です。
アイドルグループの裏側を垣間見ることができ、エンターテインメント小説として面白いなと思いつつ、主人公のアイドルの心情を巧みに描写して、普通の小説としてもすごく面白かったです。アイドルを目指していた子供の頃から、アイドルグループのオーディションを経て、高校生でデビューして、一定の人気を得ていく過程の中で、アイドルや自分の生き方に関しての思いや考えが本当に上手に表現されています。
一つ一つの選択が大事だということは、高校生のアイドルに教えられました。

本編の小説の中に、コラムのようにはさまれる、武道館関係者や印刷業者など、アイドルを取り巻く事業者のミニエピソードが面白いです。

そして、アイドルというシステムを通じて、SNSが当たり前になったこと、推し活が少しずつ市民権を得てきた時代の日本の空気感を感じることもできました。ある意味、時代小説ですね。

若者支援をしているNPO関係者のみなさんは、若者の空気感を感じることができる小説としてお勧めします。


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