【NPO書評】なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)
次は、世の中で評判になっている読書の本を読んでみました。
オーディオブックのAudibleで見つけて、読みました。
タイトルだけを読むと、読書術、読書に関するノウハウ本という印象でした。
働きながらちゃんと本を読むことができる方法を学べる本だと思っていました。
しかし、読んでみると、明治以降の労働史×読書史(あるいは出版史)をまとめたものでした。明治の近代化以降、どのような層がどのような本を読んできたのかがわかりました。そこに、明治以降の労働の変遷をかけあわせて、いわゆるサラリーマンがどのように読書をしてきたのかの近代史がよくよくわかりました。
日本人は、いつの時代も自己啓発が好きなんですね。
なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)
2024/4/17
三宅 香帆 (著)
戦後は、10年単位で読書と労働の変遷が丁寧に解説されています。
昭和・平成史を読んでいる感じです。
結局は、仕事が人生の中心になってしまって、余白である読書まではちゃんとできないというものです。仕事と、趣味である読書が両立できないことを労働の面から解説しているというのが面白かったです。読書のためには「働き方改革」が必要です。
なので、今、本を読んでいなくても大丈夫です。
読書をするためには、働き方の見直しが必要です。
そして、本書は、読書ができる余白を作るためにも、働き方を変えていこうという提案の本です。働き方は社会構造が大きく関わっていますので、社会に対する提案になっています。一方で、個人として、働き方を見直して、読書を行っていくためのノウハウも最後にまとめられています。
本好きの方には、あらためて、日本の読書史を知るためにもお勧めの本です。