【NPO書評】もう明日が待っている (文春e-book) Kindle版
今年(2024年)の3月に急遽出版された本で、その著者印税をすべて能登半島地震の義援金として寄付をするということで、前から気になっていた本です。
ちょうどAudibleでオーディオブック化されたので、読んで(聴いて)みました。
サブスクのオーディオブックでも印税は発生するはずなので、読むだけで寄付になるのは嬉しいですね。
40代、50代はリアルタイムで見ていて、そのムーブメントを感じていたSMAPの物語です。
著者の鈴木おさむさんは今年の3月末に放送作家を引退されています。その引退の前にこれだけは出版したいということで急遽出版されたものです。
月刊『文藝春秋』に掲載され、「小説SMAP」と呼ばれて大きな話題を呼んだ3篇に新たな書き下ろしの章を大幅に加えたものです。
著者の鈴木おさむさんは、大ヒット番組『SMAP×SMAP』の放送作家として20年以上、SMAPとともに歩んできた人です。
テレビやメディアで知るSMAPの裏側を知ることができました。
リアルタイムで見てきたアイドルグループの物語なので、なんだか感慨深いですね。
この本で語られているSMAPを通じて、90年代から2010年代の社会の空気感をあらためて感じることができました。懐かしさと、あらためてそうだったのかという感慨でいっぱいです。
もう一方で、人気の放送作家だった鈴木おさむさんのキャリアや仕事に対する真摯な態度と覚悟を知る、自伝小説の要素もあります。特に、同世代(自分の一つ上)の著者の半生、キャリアからも深い学びがあります。仕事に誠実、真摯な態度であるということは本当に大事ですね。
もう明日が待っている (文春e-book) Kindle版
鈴木 おさむ (著)
「小説SMAP」という形をとって、ほぼノンフィクションで綴られていると思います。
SMAPの結成からメンバーの脱退、トップアイドルの結婚、そして解散劇。
SMAPファンというわけでもなくても、同世代の生きてきた身としては、それぞれの出来事をメディアで見てきました。
その状況を当事者に近い立場にいた著者によって綴られた物語は、読んでいるだけで、ドキドキしたり、ワクワクしたり、時には心を痛めるものでした。
あらためてトップアイドルグループ「SMAP」のすごさを知ることができました。
40,50代の方は機会があればぜひ読んでほしいですね。
SMAPが駆け抜けた時代の空気感をあらためて感じることができます。
本書を読んでいると、SMAPによって、世の中の空気が大きく変わった分岐点がいくつもあるなと思いました。森くんの脱退、キムタクの結婚、SMAPの解散など、今から振り返ると世の中のターニングポイントにもなっていると思います。
そして、SMAP全盛期に発生した大規模災害の東日本大震災のことも取り上げられています。「SMAP×SMAP」の中で、震災後の放送で実施された被災地へエールを送った歌唱、被災地で実施された料理対決の話など大変興味深く読みました。また、SMAPがアンバサダー的な役割を果たしていた東日本大震災復興支援財団のことも紹介されています。東日本大震災復興支援財団はソフトバンクの孫さんが私財を寄付して設立された財団法人です。現在の子ども未来支援財団です。
テレビ番組「SMAP×SMAP」では、番組の最後にSMAPが東日本大震災復興支援財団への寄付への呼びかけを放送していたのがとても印象に残っています。その話も紹介されていました。「SMAP×SMAP」の最終回でも、その告知を行っていたというのは、あらためてSMAPの復興支援の思いを感じることができました。
本書を読むことで、印税が能登半島地震の義援金になり、SMAPの東日本大震災への復興支援の思いをあらためて知ることができます。
40、50代のNPO関係者のみなさんは、自身が過ごしてきた時代を感じ、さらに寄付になる一冊として、絶賛お勧めします!