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【NPO書評】ドラマで読む韓国: なぜ主人公は復讐を遂げるのか (NHK出版新書)

あなたの知らない韓国が、ここにある!

ソウルに住んでもうすぐ30年という翻訳家の方の本です。
主に韓国ドラマに日本語字幕をつけるお仕事をされている方です。
本書のタイトルは、韓国ドラマの解説本という印象ですが、韓国ドラマをきっかけに、リアル韓国事情を解説してくれるものです。1990年代後半から最近までの歴史や変化を踏まえての内容です。

これが、実に面白いです。
韓国ドラマはまったく見たことがないのですが、韓国ドラマの歴史を学びながら、韓国の社会の状況や、韓国人の国民性や価値観などを知ることができます。ドラマなので、韓国の人間関係の機微なども知ることができました。
厳しい経済格差、色濃く残る家父長制、塾通いで心を病む子どもたち、ジェンダー対立など、いわゆる社会問題も取り上げられています。

マスコミで取り上げられているような韓国情報ではなく、リアルな韓国を垣間見ることができました。韓国事情に少しだけ詳しくなり、韓国に対する解像度が上がりました。読んでいて、とても楽しめる文章と内容でした。

ドラマで読む韓国: なぜ主人公は復讐を遂げるのか (NHK出版新書)


2024/9/10
金光 英実 (著)

そうそう、この本を読むきっかけも、たぶん、寄付で検索して見つけた本です。
本書では、こんな寄付の事例が紹介されていました。

韓国のアイドルファンたちは、誕生日に大きな広告を出したり(センイル広告)、「推し」の誕生日を祝うファン同士の交流会を開いたりしている。さらに、世間的にも、自分の「推し」にはこれだけのすばらしいファンがいるとアピールするために、「米花輪」というものをやっている。これは、「推し」のイベントに花輪とともに大量のお米を贈って、イベント終了後、児童福祉施設などに寄付されて恵まれない人の役に立つというものだそうです。推しのアイドルの名声を高めるために、こんな取り組みがあるなんて、素敵です。
ファンたちが、「推し」の誕生日に「推し」の名前で寄付することもよくある。
本書でも、BTSのファンの事例が取り上げられていましたが、BTSファンのアーミーによる取り組みはすごいですね。確か、日本のアーミーも同じ取り組みをしていたはずです。
他にも、バースデイプロジェクトと称して、みんなで街のゴミ拾いをしたり、病院に車椅子を寄付したりすることもあるそうです。

アイドル本人を喜ばせるだけでなく、本人のすばらしさを世間にアピールする行為として行うのは、まさに韓国らしい取り組みです。

ただ、寄付の事例を知りたいと思って読んで、韓国の諸事情を知ることができるなんて、なんてすばらしい機会なんでしょうか!(笑)

韓国好きのNPO関係者のみなさん、ぜひどうぞ。


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