【NPO書評】なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか
なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか
2024/9/26
横道 誠 (著)
「発達障害の観点から小説版ムーミン・シリーズを読み解いた、まったく新しいムーミン評論」というWeb記事を見て、興味を持った本です。
ムーミンについては、子どもの頃にテレビでアニメの「ムーミン」を見たくらいの知識です。小説版のムーミンも読んだことがありません。
でも、本書を読んで、一気に小説版のムーミンにがぜん興味が湧きました。
著者は文学を専門とする大学の先生です。そして、40歳で自閉スペクトラム症、ADHDと診断され、発達障害当事者自助グループ活動も精力的に行っている方です。
当事者の視点で、ムーミン谷の住人について語っています。
この構図もとても興味深いです。
ムーミンの物語から、ムーミンを生み出した著者のトーベ・ヤンソンのこと、さらに発達障害のことを知る、学べる一冊になっています。
山田とては、小説版ムーミン・シリーズについては、まったく知識がなかったので、ムーミンなどの登場人物やその物語の世界について知ることがとても新鮮でした。
アニメとは別の世界があったんですね。
原作者のトーベ・ヤンソンについては、テレビ番組で紹介されていたのを以前観た記憶がありますが、どのようにムーミンが生まれたのかという話は興味深いです。
そこに、発達障害、最近使われ始めている「ニューロマイノリティ(脳の少数派)」という視点で読み解き、紹介されています。
こういう視点でムーミンを読むと、また違った世界が広がっていきますね。
ニューロマイノリティの方にとっては、ムーミンの物語や登場人物にとても共感するそうです。最近、話題になっているニューロマイノリティを知るきっかけにもなりそうです。
多様性を考えたり、多様な方が生きやすい社会のあり方を考えるヒントにもなる本なので、NPOのみなさんにもお勧めできる一冊です。
特に、ムーミン好きのNPO関係者の方にはいろんなヒントが詰まっていると思います。