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【NPO書評】寺内貫太郎一家

寺内貫太郎一家
1983/3/1
向田 邦子 (著)

向田邦子の本は、高校生の頃、実家のおばあちゃんが持っていた文庫本「思い出トランプ」「父の詫び状」を読んだ記憶があります。でも、内容はすっかり忘れています。
オーディオブックのAudibleに向田邦子の本があったので読んでみました。

「寺内貫太郎一家」は向田邦子の脚本でテレビドラマ化されています。
その小説版です。
Amzonの紹介文では「幻の処女長編小説」とあります。
ドラマの脚本が先なのか、小説が先なのか、わかりませんが、とても面白かったです。
テレビドラマは「懐かしのテレビ」といった番組で紹介されているので知っていて、登場人物(小林亜星や樹木希林など)はなんとなく知っている程度です。

小説だと、1973~74年の東京・谷中の下町の暮らしを描いています。
1973年生まれなので、その当時の東京の庶民の暮らしはこんな感じなんだなと、ちょっと感慨深いものがありました。

寺内貫太郎一家の約1年半くらいの時間軸のお話です。
エピソードは12話。
オーディオブックなので、1話30分前後の朗読時間でした。
まさに、テレビドラマのようですね。
内容はコメディです。
オーディオブックですが、ラジオドラマを聞いているような感じでした。

最近の小説は詳細な心理描写で、登場人物の内面を描き切るようなものが多い気がしますが、この小説は人間関係と、言葉と態度によるコミュニケーションで、物語を描き切っています。各話、前半はドタバタ劇で最後はホロっとさせるところが、向田邦子の筆力なんですね。

寺内貫太郎一家のような家族のあり方が、昔はセーフティーネットの役割を果たしていたんだなあと思いました。
こういう小説も、一つのケーススタディとして、NPO関係者が読んでみると面白そうです。
単純に面白いので、息抜きの小説としても、絶賛お勧めです。


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