【NPO書評】ゆるい場をつくる人々: サードプレイスを生み出す17のストーリー
NPO関係者がチェックすべき出版社がいくつかありますが、そのうちの一つに学芸出版社があります。
学芸出版社のメルマガを読んでいると、気になる本に出合います。
本書もそんな一冊です。
法政大学の石山恒貴先生が編集した本です。
石山先生には面識はありませんが、コミュニティ関係の情報でよくお名前をお見かけしています。
自宅や職場とは違う、第三の居場所、コミュニティであるサードプレイスをテーマにした本です。17のサードプレイスの実践を紹介した本です。
事例紹介の本なので、とても面白く、さくさく読み進めることができました。
サードプレイスというカテゴリーであまり情報収集していないので、初めて知る事例も多く、すごく興味深かったです。
サードプレイスという分類ですが、その内容は多種多様ですね。
コワーキングスペース、まちの学び舎、コミュニティ農園、シェア本屋、女性やシニアの仕事場、減災/防災活動、医カフェなど、いろいろな分野・種類の事例が紹介されているのもよいです。
ゆるい場をつくる人々: サードプレイスを生み出す17のストーリー
2024/9/15
石山 恒貴 (編集, 著),
最初に、石山先生による「ゆるい場としてのサードプレイス」についての解説が序章としてあるので、サードプレイスという言葉になじみがない方もしっかりイメージをインプットして読み進めていくことができます。
各事例は石山先生のゼミ関係者が直接取材をして紹介されています。
なので、単なる事例紹介というより、サードプレイスが生まれて継続されている背景やその場の本質などを深掘りして、インタビューして研究してまとめられているので、紹介されているサードプレイスのことがよく理解できます。
そして、各事例に共通しているのが、サードプレイスの創設者、あるいは運営者の人物像にもフォーカスを当てているところです。サードプレイスの作るきっかけだけを紹介しているのではなく、その人の半生からインタビューして、どのような人生の流れの中でサードプレイスに関わるようになったのかまで深掘りしています。これは、よくある事例紹介とは違うところですね。この点が本当に面白いです。
17のサードプレイスの活動を知るだけではなく、17人の現在進行形の人生の物語も知ることができる内容になっています。
何人か知り合いも登場していたので、その部分も非常に興味深く読むことができました。こすぎの大学、非営利型株式会社Polarisについて詳しく知ることができたのも、この本を読んでよかったです。
NPO関係者のみなさんも、何かのヒントになると思うので、ぜひどうぞ。
特に、NPOセンターの本棚には必須の本だと思います。
地域の方々に参考になる事例集として、お勧めできる本です。