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【NPO書評】NPOとは何か-災害ボランティア、地域の居場所から気候変動対策まで (中公新書)

先日、書籍の写真をアップしただけで、大きな反響があった、こちらの本。
1章ずつ、じっくり読み進めてきて、ようやく読み終えました。
これは、NPO関係者であれば、「NPOとは何か」ということをあらためて学ぶ、あるいは考えるために、今、読むべき本です。

今回は著者の宮垣先生からご恵贈いただきました。
(宮垣先生、あらためてありがとうございます!)

宮垣先生があとがきで書かれていますが、NPOの複雑さを、そのまま複雑なものは複雑という視点に立って、日本のNPO像であったり、NPOに関する概念、あるいは法律上の体系を単純化することなく、複雑な構造をそのまま解説してくれています。
本書を読むと、本当にわかりにくい組織や概念という世界に自分が関わっているということがよくわかります。

なぜ、複雑な構造になっているか?、ということをNPOやそれに類似する組織や運動に関する日本の歴史から紐解いて説明をしています。
NPOの歴史、NPO史に関する書籍という側面もあります。

さらに、現在の状況も、日本社会全体を俯瞰してのNPOの役割から、法律や制度などの細部、あるいは現場のNPOの実態など、いろんな角度から、日本のNPOの状況を浮き彫りしてくれています。

NPOとは何か-災害ボランティア、地域の居場所から気候変動対策まで (中公新書)
2024/6/19
宮垣 元 (著)

この1冊で、日本のNPOの縦糸(歴史)と横糸(現在の状況)を、そしてそれがどのように織られてきたのかを、入門書的に学ぶことができます。本当に貴重な1冊です。
また、参考資料なども豊富なので、本書を読みながら、深掘りしたいトピックスなどはこの本を起点に別の書籍等で学びを深めることができるようになっています。

それにしても、歴史も現在の状況も、これだけ縦横無尽に様々なトピックスをまとめあげて、NPOの実態を複雑さはそのままに、内容は理解しやすい形で書籍にされるのはとても貴重な一冊ですね。
大学の先生に対する賛辞にふさわしい言葉ではありませんが、宮垣先生のNPOに対する情熱、あるいは愛情、そしてそのマニアックぶりにはただただ驚嘆します。こういう解説本の形で書籍にしていただいたことに感謝です。

これから、NPOに関するプレゼン資料や調査資料を作成する時には、最初に引用される書籍になると思います。しかも、複雑なNPOを端的に学べる新書として出版されているのも嬉しいですね。

ということで、NPOセクターに関わっているみなさん、ぜひ、本書を読んでみてください。そして、NPOについて、説明の難しさをみなさんで実感しましょう(笑)。

ちなみに、こちらの書籍、日本非営利組織評価センターでは、事務局メンバー必読の本として、研修代わりに購入して読んでもらっています。
特に、中間支援組織の方には必携の一冊です。


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