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【NPO書評】クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ
クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ
2024/4/26
山口周 (著)
「社会運動・社会批判としての側面を強く持つビジネス=クリティカル・ビジネス」に関する本です。
クリティカル・ビジネスという言葉も本書で初めて知りました。
オーディオブックのAudibleで見つけて読んだ本です。
副題の「社会運動とビジネスの交わるところ」に惹かれて読んでみましたが、非常に刺激的で面白かったです。
クリティカル・ビジネスはここ数年に始まったものではなく、世界を見渡せば、すでにクリティカル・ビジネスとして発展している企業は既に存在しています。
そして今、このような社会状況だからこそ、クリティカル・ビジネスが求められているということです。
クリティカル・ビジネスの実践例から主なパターンとして挙げられていたものです。
①支配的価値観への批判
②貧困と経済的不平等の解決
③気候変動・資源枯渇への対応
④器量倫理と透明性の向上
⑤労働者の権利と福祉の改善
⑥ダイバーシティとインクルージョンの推進
⑦地域社会とコミュニティの生成
本書を読んでいると、NPO活動に隣接している領域のビジネスに関する本です。
以前からソーシャルビジネスという言葉が使われていましたが、どちらかというとNPO寄りの言葉だったと思います。
クリティカル・ビジネスは企業のビジネスから生まれてきたもので、感覚としてはよりスケールの大きなものというイメージでした。
最近、企業活動も課題解決をテーマとした新規事業開発が多くなってきています。
ビジネスとNPOの境界線があいまいになってきています。
今までは境界があったものが地続きになっているので、周囲を見渡すためにも、NPOにとって、本書は最適な参考書になっています。
ビジネスとして、組織運営として、いろいろなヒントが詰まっています。
課題解決型のNPOとしては、読むべき本の一冊です。
ぜひ、チェックしてみてください。
クリティカル・ビジネスを行っている企業の事例も豊富なので、事例集としてもとても面白いです。また、クリティカル・ビジネスに関連して、社会課題解決に参考になる思想もいろいろと紹介されているので、その点も勉強になります。