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【NPO書評】魚食の人類史: 出アフリカから日本列島へ (NHKブックス)

ネットの記事で、「本の半分過ぎても、本のテーマである魚食のことが出てこない」という文章を読んで、気になって読んだ本です。
確かに、本を半分読んでも本格的に魚食のことは出てこないで、2/3くらい読み進めて、ようやく魚食のことがメインで出てきました。でも、そこからはあまり深く魚食の話にはならないという不思議な本でした(笑)。
でも、とても知的好奇心をくすぐる本でした。

著者はサルの研究をバックボーンとして人類学者の方です。
いつ人類が日常的に魚食をするようになったのかということをテーマにしつつも、メインのテーマは人類の誕生から人類は何を食べてきたのかという、食事をテーマにした人類史でした。

魚食の人類史: 出アフリカから日本列島へ (NHKブックス)


2020/7/27
島 泰三 (著)

アフリカでの人類誕生から、最新の科学分析に基づき、植物や穀物、肉などを食べてきた歴史が説明されています。骨に含まれている要素や頭蓋骨の形、歯の形状、あるいは堆積物などの分析から何を食べてきたということがわかってきます。
また、穀物を食べるにはそれを器用に扱う手の進化が必要だったりと、知らないことばかりで面白いです。
そして、アフリカ大陸でホモサピエンスが誕生し、アフリカを脱出し、ヨーロッパや中東からアジアに進出していく中で、ようやく魚食の話が出てきます。
これまでに魚食をしていた人類はいたようですが、必ずしも積極的に食べていたというわけではないようです。アジアに進出したホモサピエンスが水辺周辺で生活するようになり、水辺の稲類などを活用する中で魚食も始まったそうです。

人類史について、食べ物をテーマにしたものを読んだことがなかったので、面白かったです。冒頭の話になりますが、人類誕生から丁寧に食べ物の歴史が解説されているので、歴史的に最後の方に出てくる魚食の話はある意味、分量が少ないです。
それまでの前振りの長さが逆に面白いという本の構成になっています。

気になった方はぜひ読んでみてください。
NPO的に特に参考になるポイントはありませんでしたが、純粋に知的好奇心を埋めるための本としてお勧めです。


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