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【NPO書評】レナードの朝 〔新版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

たぶんの記憶ですが、高校3年の時に課外授業として、街中の映画館に映画を見に行くという機会があり、その時に見た映画が「レナードの朝」でした。1991年のことです。
それから約30年。
オーディオブックのAudibleで映画の原作となったオリヴァー・サックスの「レナードの朝」を見つけました。
「レナードの朝」は医師のオリヴァー・サックスが1973年に出版した医療ノンフィクションです。
映画のストーリーそのままの原作ではないんですね。
本書では20人の患者が取り上げられていますが、レナードはそのうちの一人でした。

本書の内容は、Amazonではこんな感じです。
『20世紀初頭に大流行した脳炎の後遺症で、言葉や感情、体の自由が奪われてしまった患者が、奇跡の新薬L-DOPAの投与によって目覚める。
しかし体の機能回復に加え、人格まで変貌してしまうという怖い副作用が……。
レナードら20人の症例とそれに誠実に向き合う脳神経科医サックス博士の葛藤を、人間味あふれる筆致で描く。』

レナードの朝 〔新版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 

2015/4/8
オリヴァー・サックス (著)

本書は70年代に出版され、90年代に映画化され、その後に新版として出版されたものです。なので、追加の解説で映画化の話なども盛り込まれています。
30年前に見た映画のかすかな記憶を辿りながら読み進めましたが、とても面白かったです。序文で、医療ノンフィクションとして出版された経緯が紹介されていましたが、最初は医療論文として世に出そうとしたものが、そのセンセーショナルな内容から医療論文としては信憑性が疑われ、、ノンフィクションとして患者それぞれにスポットを当てた物語として出版されました。
逆に、そのおかげで舞台化や映画化されたという副産物もあったわけです。

もう古典に分類されるものですが、「レナードの朝」の映画を見て、未読の方には絶賛お勧めします。
まだ映画を見ていない方はぜひ映画を先にお勧めします。
患者と医師の関係性、将来の不安に対して冷静に考える抑制された心持ちの描写など、とても見ごたえがあります。映画を見た上で、その謎解きとして本書を読んで、とてもよかったです。


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