【NPO書評】社会に良いことをする :ユニクロ柳井正に学ぶサステナビリティ
今回もあたりをつけて、読んだ本です。
オーディオブックのAudibleの新着で出てきたので、読んでみましたが、やはり当たりの本でした。
そう、寄付のことがしっかり紹介されていました。
ちなみに、寄付月間なので、寄付縛りで本を探して読んでいます。
本書は、長年、ユニクロでPRとブランディングを担当されていた方による本です。
1999年から2018年の約20年、ユニクロに勤めていたということで、ユニクロの内部から見た話や、ユニクロの関係者にあらためてインタビューした内容をもとにしています。とても解像度の高い内容になっています。
ユニクロに関する本はいろいろ出ていると思いますが、本書は、社会貢献やサスティナビリティに特化した内容です。
一つの企業をこういう切り口で紹介する書籍は結構珍しいと思います。
ユニクロの25年間の取り組みが詳しく紹介されています。
こういう本を読むと、現在のユニクロのサスティナビリティの素晴らしい取り組みが急に誕生したというより、いろいろな積み重ねがあって、現在の形になっているということがよくわかります。
ユニクロについては、CMや店舗、商品を通じてよく知っている企業なので、そのイメージを持ちつつ、企業の裏側を垣間見ることができるのが面白いですね。
たぶん、日常的に接点のある企業なので、楽しみながら読むことができると思います。
山田的には、実家から一番近い店舗である「ユニクロ前橋南インター店」がサスティナビリティのモデル店舗だったということを初めて知りました。お正月に帰省する際にぜひ行ってみたいと思います。
社会に良いことをする :ユニクロ柳井正に学ぶサステナビリティ
2024/6/17
北沢みさ (著)
さて、寄付のトピックスとしては、ユニクロの最初の募金プロジェクトである瀬戸内オリーブ基金のことが詳しく紹介されていたので勉強になりました。
瀬戸内オリーブ基金との出会い、建築家の安藤忠雄氏とのきっかけ、最初は創業者の柳井正社長が個人的に寄付をして、その後、企業として支援するようになり、店舗に瀬戸内オリーブ基金の募金箱を設置したこと、活動を理解してもらうために社員に現場訪問する機会を用意したことなど、企業の寄付プロジェクトの立ち上げから実施までの流れを追体験できるのは面白いですね。
あとは、東日本大震災の際の支援の話もなるほどと勉強になります。
こちらも、柳井社長が個人として10億円の寄付をするとともに、ユニクロ企業として1億円の寄付をし、その後、物品の提供などを行っていった過程を知ることができます。また、物品提供から被災地での店舗開店と、本業での復興支援につなげていく道筋も他の企業のみなさんに参考になることと思います。
山田としては、売上利益の全額を寄付する「PEACE FOR ALL」プロジェクトの裏側を知ることができたのが、よかったです。
ウクライナ支援を行うために急遽発案されたプロジェクトが短期間で実現されていったことや、その後継続していくことなど、Tシャツの製造業・メーカーとしての苦労とチャリティプロジェクトとして著名人に無償で参加してもらう仕掛けの苦労は一つのケーススタディとして大変興味深いものでした。
最後に、なぜユニクロが熱心に難民問題の支援を行っているのかが紐解かれていますが、これは企業の姿勢として本当にリスペクトできるものでした。
「 難民問題は社会的な人材の損失」という視点から22年間に渡り、積極的に難民問題に取り組んでいることはすごいですね。そして、単にUHCRへの支援だけではなく、各国のユニクロで難民としてそれぞれの国に逃げてきた方を積極的に雇用している姿は本質的な取り組みですね。
企業との連携を希望しているNPOのみなさんなら、ぜひ押さえておきたい1冊です。