コミュニティの力がビジネスを変える!#CMC_Central に参加しました
皆さんどうも、ヌーラボの原田(@yasuhirox)です。
2024年6月29日に愛知県名古屋市で開催されたコミュニティマーケティングの実践者・成功者を増やす祭典、「CMC_Central」に参加してきました。
今回、ヌーラボはスポンサーとしてもサポートし、この一大イベントの運営にBacklogを提供させていただきました。チームワークマネジメントを実践したその舞台裏などはこちらの記事に掲載されているのでぜひ!
CMC_Centralは、累計120以上開催されているCMC_Meetupの全国版です。ちなみにCMC_Meetupはコミュニティマーケティングやコミュニティの立ち上げ・拡大に関心のある方々向けのコミュニティです。
このレポートでは、最初のセッションと最後のセッションのみをまとめています。中間の様々なセッションにも参加させていただいたのですが、全てを書いてしまうと、すんごいボリュームになりそうだったので、申し訳ございません。
また、こちらはあくまでも私が感じたところをレポートとして書かせていただきますので、ご了承ください。
キーパーソンと語る、コミュニティマーケティングの未来予想図
最初のセッションは主催者であり、コミュニティマーケティング推進委員会の代表理事を務める小島さんが、キーパーソンと語るトークセッションです。
ビジネス成長とコミュニティ
未来予想図1では、ビジネス成長とコミュニティをテーマに、トレジャーデータの坂内さん、Asana Japanの長橋さん、Datadog Japanの萩野さんがトークセッションを行いました。
主な内容は、SaaSサービスやエンタープライズ企業向けITサービスを提供する企業のマーケティング視点から、カスタマーサクセス、LTV(顧客生涯価値)、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)とコミュニティの関係についての話でした。
CSの領域では、顧客の価値からコミュニティを作るために、まず顧客を深く理解することが不可欠であると。そして、CSとコミュニティは切っても切れない関係にあるというのは非常に納得できるお話しでした。
顧客情報や体験そのものがコミュニティを形成し、それをマーケティングや製品開発に活かすことができますからね。切ってもきれないわけです。
そして、LTV(顧客生涯価値)とコミュニティの関連性についての話も非常に興味深いものでした。
コミュニティは、製品やサービスの継続的な利用を促進するだけでなく、顧客のロイヤルティを高める重要な要素です。さらに、コミュニティ参加者が解約率の低下や単価の上昇に寄与するというデータは、コミュニティが持つパワーを実証しています。
ユーザーのフィードバックをプロダクトに反映し、カスタマーサクセスまでつなげる一貫した戦略が形成されていれば、プロダクトの成功に直結することを示すというお話でした。
さらに、コミュニティの形成と維持には、単なるマーケティング活動を超えた、深い顧客理解とエンゲージメントが必要だなと考えさせられました。企業は顧客との信頼関係を築き、持続的な価値提供を行うことで、コミュニティの力を最大限に引き出すことができるんだなと。
このセッションは、今後のマーケティング戦略やビジネス成長におけるコミュニティの役割を再考する良い機会となりました。
価値共創とコミュニティ
未来予想図2では、価値共創とコミュニティをテーマに、ヤッホーブルーイングのジュンジュンさんとパインバレーの矢嶋さんがトークセッションを行いました。
私はBtoCの経歴が長いため、このセッションの内容には非常に共感したところです。
まさに、同じようなことを前職で考えていて、この辺まで書くと長くなるので書きませんが、ここでのセッションは、BtoCの世界では、「モノ→コト→ヒト」という共感軸でコミュニティが形成されて、今後は「コミュニティ・ドミナントロジック」が重要だというお話しでした。
「コミュニティ・ドミナントロジック」とは、体験価値をコミュニティ価値創造の手段と捉え、コミュニティ価値の最大化を目指す概念です。
このセッションの内容は、現代のマーケティングやブランディングにおいて非常に重要な視点を提供していると感じました。
消費者の購買行動が「モノ」から「コト」、そして「ヒト」へとシフトしている現代、単なる商品提供だけではなく、その商品を取り巻く体験やコミュニティの構築が企業の成功のキーになっていると。
そして、「コミュニティ・ドミナントロジック」は、単なる顧客満足ではなく、顧客との深い絆を築くことを目指しているとお話しされていて、これは、企業が提供する体験価値が、消費者との長期的な関係性を構築するための重要な要素であることを示しているなと思いました。
特に、SNSやオンラインコミュニティの普及により、消費者が企業と直接コミュニケーションを取ることが容易になった現代では、このアプローチがさらに重要になってくると考えているからです。
また、商品やサービスの背後にある「ストーリー」が消費者の共感を呼び起こすことは、感情に基づくマーケティングの有効性を裏付けています。
今のご時世、共感は信頼の基盤であり、それが購買意欲を高める原動力となっています。
このような共感を生み出すためのコミュニティであり、僕自身はそのコミュニティから生まれてくるコンテンツにもスポットライトを当ててみたいなと思いました。
このトークセッションでの議論は、現代のマーケティング戦略の方向性を示すものであり、今後のビジネス展開において非常に参考になる内容でした。
イノベーションとキャリアとコミュニティ
未来予想図3では、「イノベーションとキャリアとコミュニティ」をテーマに、友岡さん、KTさん、尾原さんの3名によるトークセッションが行われました。
このセッションで特に印象に残ったのは、尾原さんがAndreessen Horowitzの「Community Takes All」について語った部分です。
「Community Takes All」という概念は、現代の競争激しい市場において非常に重要な要素だなと再確認しました。
ソーシャルな要素を取り入れることで、グロースループ、エンゲージメント、リテンション、ディフェンシビリティが強化されるという考えは、コミュニティの持つ力を最大限に活用する方法を示しています。
また、イノベーションの話をされていた時だったと思いますが、エンタープライズ企業が0から1への創造力に加え、1から10への拡大力を持つことの重要性は、コミュニティの力を借りることで達成されると…エンタープライズの企業にもコミュニティは必要な時代なんですよね。
これは、製品やサービスのユーザーが単なる消費者から、企業の発展に貢献するコミュニティメンバーへと進化する過程とも言えるでしょう。
さらにオバマ大統領の「Me, Us, Now」のモデルが示すように、個人のストーリーがコミュニティ全体のストーリーとなり、それが強固なコミュニティ形成につながっていくともおっしゃっていました。
このアプローチは、ユーザーが自分自身をコミュニティの一部として感じることができるため、強力なエンゲージメントを生み出すのではないかと思いました。
尾原さんがXでCMC_Centralでお話しした内容をポストしているので、ぜひご覧なってみてください。
ビジネスも人生もグロースさせるコミュニティとの向き合い方
クロージングのセッションのレポートですが、トリを務めたのは、コミュニティマーケティング推進委員会の代表理事を務める小島さんとSnowflakeでシニアプロダクトマーケティングマネージャー兼エヴァンジェリストのKTさんによるトークセッションでした。
いやぁ、ここの内容が濃かった。そして、今回もキャリアに関する核心的な話題が多くありました。
ビジネスをグロースさせるコミュニティ
まずは、KTさんから「プロダクトにはビジョンがなければ生き残れない。そして、その製品やプロダクトを通してどんな世界を目指しているのかを共有していく必要がある」とお話しされていました。さらに、そのビジョンを共有をしていくためにはコミュニティが必要というわけです。
そして、コミュニティはプロダクトにとってはマスト条件であって、その理由としては、機能差がほとんどない中で、コミュニティやビジョンそのものが差別化要因となるからだとお話しされていました。
この記事も今回のセッションの中で紹介されていたので、ぜひ読んでみてください。
また、エヴァンジェリストが一人で情報を発信するだけでは効率が悪いので、様々な人たちが情報を届けられるようにすることで世界が広がっていく….それを実現するためにはコミュニティが必要だと。
いろんなコミュニティに波紋のように拡がり、誰が言ったかわからなくなれば文化になるので、そこを目指さなければいけないと。
まさに、現代のプロダクト戦略におけるコミュニティの重要性を強調していました。
ビジョンの共有とコミュニティの形成は、プロダクトの差別化と持続的な成功に不可欠ですし、企業は、エヴァンジェリストやコミュニティメンバーと共に情報発信を行いながら、強固な文化を築くことを目指していくべきですね。
人生をグロースさせるコミュニティ
後半はキャリアの話でした。
社内や組織内に「先生」がいない時代では、そうした先生を外部に持つことが重要であり、そのためにコミュニティを活用する必要があります。コミュニティ活動を通じて新たな知見を得ることで、キャリア形成にも役立ちます。
KTさんが立ち上げたDATA Saberの話では、コミュニティを通じて外部の知見を取り入れることが強調されていました。
DATA Saberは、90日で技術とビジョンを持つ人を輩出するプログラムであり、KTさんが4年かけて学んだことをわずか90日で教えています。
DATA Saberは仕組みとおっしゃっていたのが印象的で、仕組みにならないと次に続かないとのこと。その仕組みを一緒に作っていき、仕組みと情熱を高いレベルで継承していく必要があるとおっしゃっていました。
誰に引き継ぐからは、目がキラキラした人….情熱を持っている人….この情熱センサーだけは仕組み化できないので、人間がやらなければいけないところだそうです。
また、垂直的越境と水平的越境の図は非常にわかりやすく、習熟度と関心度の関係を示していました。コミュニティを通じて新たな関心を抱き、習熟度を上げていくことで、越境を繰り返すと希少性が高まります。
例えば、コミュニティの運営を行うことで、企画力や登壇力、プレゼン力などのスキルが向上し、社会人としての希少価値が高まっていくわけです。
また、会社内では得られない多様な関心軸を、コミュニティを通じて新たな視点や方法を学ぶことで広げることが可能となります。
これにより、参加者のプレゼンスキルや企画・運営スキルが向上し、キャリアに良い影響を与えます。この資料でいうところの「AもBもCもできる人」というのは、まさにコミュニティに関わっていくことで、新しいスキルを身につけて、マルチスキル化した人間を指しています。
また、コミュニティの構成としては、イベント本編が関心軸、懇親会が信頼軸とお話しされていて、コミュニティに参加する段階では関心軸のみですが、安定したコミュニティを形成するためには信頼軸が必要とのこと。
そして、その信頼軸を構築するためには、打ち解けられる場所が重要であって、それが懇親会ですね。
関心軸だけでは一時的なつながりしか生まれませんが、信頼軸を築くことで、持続的な関係性が形成されます。そのためには、懇親会やカジュアルな交流の場を設けて、信頼関係を深めていくことは、キャリアを形成していく上では非常に重要だとおっしゃっていました。
垂直的越境と水平的越境の概念は、個人が専門性を深めつつ、異なる分野への関心を広げる過程をわかりやすく説明されていて、このプロセスを通じて、個人の希少性が高まり、キャリアにおける競争力が強化されていくことを実感する内容でした。
このセッションを通して、個人としてのコミュニティの関わり方をあらためて見直さなければいけないと強く思いました。
いくつになっても、学びしかないですね。
スポンサー:KEENさん
今回、このイベントのメインスポンサーを務めたのがKEENさん。ということで、僕からもKEENさんのご紹介を。
KEENさんは「コミュニティ生まれ、コミュニティ育ち」の企業であり、コミュニティマーケティングの効果を最大化する日本初のKPI管理ツール「KEEN Manager」を自社で開発、提供しています。
実は、僕がKEENさんと初めてお会いしたのは、CMC_Centralでした。
その時の鳥の目・虫の目・魚の目という観点から、コミュニティ「はじめの一歩」について話されていて、とても共感したことを今でも覚えています。
きっかけはCMC_Meetupでお会いし、今となってはヌーラボでもKEEN Managerを活用しています。コミュニティを運営していくにあたり、必要である数字を可視化したく導入しました。そんなお話もこちらでしていますので、ぜひ!
20階のブースではコーヒーを配布しており、大変賑わっていました。巧妙に設計されたマーケティング戦略ですね。
コーヒーのプラカップにロゴが掲載されており、多くの人が写真を撮ってSNSにポストするように仕向けられていました。さすがのアイデアです。
まとめ
今回、初のCMC_Centralの開催にあたり、本当に大変だったと思います。ヌーラボからも3名が運営に参加し、約半年間かけて準備を進めてきました。
まずは、運営に関わった皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
今回、様々なセッションを通じて明らかになったのは、コミュニティがビジネスやキャリア形成において極めて重要な役割を果たすということです。
もうこれは間違いないでしょう。絶対に絶対に絶対です。
レポートにまとめた内容には、ビジョンの共有、文化の形成、越境によるスキルの習得といったテーマが含まれています。
これらはすべて、コミュニティがなければ実現しないものです。コミュニティの存在によって、プロダクトの差別化や個人の成長が促進され、企業としても成長していきます。
こうしたことを踏まえると、コミュニティの力を最大限に活用し、持続的な成長を目指すことが、現代のビジネス環境では不可欠であると心から感じました。
もしサポートいただければ、今後のnoteに生かしたり、他のライターさんへのサポートに回したいと思います。