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オーバーツーリズム対策としてのデ・マーケティングとは

2023年8月28日付 日経新聞のコラム春秋に伏見稲荷大社が「世界ワースト観光地」の第8位にランクインしたことが述べられていました。

人気都市ランキングでは、京都は世界3位であるにも関わらず「人が多すぎる」「イメージしていた写真が撮れない」といった観光客が多すぎることが不人気の理由だそうです。その上で、集客を減らす「デ・マーケティング」を進めるべきとの主張もあると述べられています。

デ・マーケティング(demarketing)とは、需要を抑制するマーケティング活動のことです。

20年ほど前、日本は「高い」国でした。2008年に「観光立国推進基本法」が成立し、ビジット・ジャパン・キャンペーンのように、訪日観光客数の増加に努めてきました。

東南アジアの人々からすると、日本は旅行で訪れるにはハードルが高いし、欧米からも「興味はあるけど遠いし高い」っていうことで行きやすいイメージはありませんでした。

そこから官民の努力で当時年間800万人くらいの訪日旅行者がコロナ前の2019年には3200万人にまで増加しました。

近隣の東南アジア諸国は経済成長のおかげで個人所得も増加しています。円安の影響もあり日本は彼らにとっても「安い」国になっているといえるでしょう。

9月には中国からの団体旅行客も戻ってくると言われておりこれからはさらに外国観光客が増加すると思われています。

せっかく魅力のある場所なのに人があふれかえってしまうと趣も半減してしまいます。

それと同時に、これまで観光地としての魅力をアピールして成功してきたわけですからそのブランド価値を下げるようなことしたくはないでしょう。

では、需要を抑制するデ・マーケティングにはどのような方法があるでしょうか?主に3つ考えられます。

完全予約システムの導入

世界の主要な観光地では事前予約は当たり前になってきています。数年前にバルセロナに行ったことがあるのですが、サクラダファミリアは当然の如くガウディの建築物は事前予約が必要です。

日本の主だった観光施設も予約システムを入れば当然入場者数も制御できます。また、希少性の法則と言って、入場者数が限定されることによって高い価値を感じてもらえることも期待できます。

変動価格性の採用

予約システムを導入すれば予約状況を管理できます。繁忙期など予約が埋まってくれば価格を上げることが可能です。また、時間帯によっても価格を変更すれば空いている時間に安い価格で来ようという動機にもつながります。

どうしても待ち時間なくすぐに入りたいという人にはテーママークのようにエクスプレスパスを販売して時間を買うという選択肢を設けることも検討できるのではないでしょうか。

外国旅行者価格の採用

タイなどでは昔から海外旅行者向けとタイ人向けでは価格が異なりました。「海外からわざわざ来てくれた人にボッタくるのか!」と思われるかもしれませんが、日本の神社仏閣は文化財保護の目的で多額の国費が使われているわけですから、税金を納めている国民と海外からの旅行者とで入場料で差があるのは当たり前のことともいえます。

おもてなしの精神を大切にする日本の感覚からは難しいかもしれませんが、最初にも述べたとおり日本は今は「安い」国です。しっかりと顧客価値に見合った価格設定をすべきだと思います。

まとめ

オーバーツーリズム解消のためのデ・マーケティングの方法についてでした。9月からは団体ツアー旅行者が急増するかもしれません。

旅行者の皆さんには当然、日本での旅に良い思い出を持って帰っていただきたいですし、そのためにも受け入れる側の需要コントロールが必要となってきますね。そして、その際には日本が誇るおいしい東北の海鮮料理も楽しんでもらいたいものです。

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