狂気の始まり 青貝棗
こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
2021の個展に向けて走っていて過去作の画像を振り返っていることが多いのですが、この「青貝棗」は今見てもゾッとします。そこには狂気を感じます。
【狂気とは?】
どれだけ画像をアップしても貼られている貝と貝に隙間がありません。本来隙間になるであろう場所に、必ず微細な貝が貼られています。
制作において「100年後、平成の漆芸を振り返る学者が顕微鏡でみたときに驚かせる」というよくわからない目標を設定して作り始めたのですが
制作には膨大な時間と材料が必要でした。貝を貼るごとにルーペで確認して制作していました。
ただの青い棗なんだけど、そこには情念とでもゆうほどの美への追求があります。
制作にあたっては、蓋と身に分かれることから複数人で制作をすることができたんだけど、制作は過酷を極めて途中で来なくなる人が出てしまいました。
およそ8ヶ月四人がかりで制作を続けて、結果的にこの作品が美しいのかどうか自分ではよくわかりません。長く見続けたせいでよくわからなくなってしまったんです。
もし可能なら時代と美のふるいにかけられた後、後世の研究者や作り手に検証された時「あれ?この作品なんかおかしい」と感じてもらえればと思います。