見出し画像

バイバイの向こう側から

悲しいことがあって、ボロボロ泣いていた。

困ったことに、もう数年前の話。

二つに延びた影は、あの日お別れをしたままで

偶然で構わないから、すれ違うことを願っていた。


スプリンクラーが回っているのをジッとみていた。

「どうしてわざと水を切って出すのだろう」

そんなこと知ったって、あの子に自慢できるわけでもないのに。

あの日、ベッドの中で泣いていたキミの手を

ただつなぐことしかできなかった

ごめんね、臆病で。

ごめんね、強いボクでいられなくて。


カラスが大きく口を開けてぴょんぴょんと進んでいた。

「なんで口を開けているのだろう」

そんなこと調べたって、あの子が戻ってくるわけでもないのに。

あの日、「つらいよ」って言ってくれたキミの背を

抱きしめることができなかった。

ごめんね、引きとめることができなくて。

ごめんね、バイバイっていって。

いいなと思ったら応援しよう!