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マネーフォワード社の再起戦略:協業とデータ活用で目指す新たなFinTechの未来

 2025年1月15日、マネーフォワード社の連結営業赤字が23〜47億円程度になるとの報道があり、これを受けて同社の株価はストップ安となりました。このニュースは市場に衝撃を与え、同社の今後の戦略と収益モデルの在り方に注目が集まっています。本稿では、マネーフォワード社が抱える課題とその克服のための具体的な戦略について考察します。

会計ソフトの協業と価格戦略

 マネーフォワード社は、現在自社開発の会計ソフトを提供していますが、まず最初にこれを止め、他社の会計ソフトとの協業にシフトすることを提案したいと思います。

 現在は会計ソフトを提供していることによって、どうしても他の会計ソフトベンダーと競合してしまいます。せっかくいい機能があっても、他の会計ソフトベンダーはマネーフォワード社と協業することができません。会計ソフトの提供を止めることによって、他の会計ソフトベンダーとの協業が可能になり、ユーザーに選択肢を提供し、より柔軟なサービスを実現できると考えます。具体的には、APIを通じたデータ連携や共同プロモーションなどが挙げられます。

 また、より多くのユーザーに使って頂くために、当初のような低価格のサービスを再び導入し、ユーザーが必要とする機能ごとにサービスを提供する柔軟なプランを検討することも必要と考えます。このようにすることで、より多くのユーザーを惹きつけながら、他社との連携を強化する戦略により、単なる競争から脱却し、業界全体の価値創造に貢献することができると考えます。

周辺サービスとの協業による効率化

 次に機能、サービス強化のために企業買収にするのではなく、周辺サービスを提供する企業とも協業を図ることが重要だと考えます。すべてをマネーフォワード社の機能で取り込むのではなく、他のベンダーやクラウドサービス提供者を仲間として迎え入れるべきです。たとえば、コミュニケーションや管理サービスやその他の周辺サービスを提供する企業と連携することで、全体としてのエコシステムを強化するというアプローチが考えられます。

 このこの戦略により、マネーフォワード社は自社の得意分野に集中しつつ、他のベンダーの強みを活かした柔軟なサービスをユーザーに提供できるようになります。これにより、全体の開発コストを抑えつつ、ユーザー満足度の向上と利益の拡大が期待できます。

サポート体制の見直し

 さらに、現行のチャットサポートを廃止し、有償電話サポートに移行することも提案したいと考えます。本格的な企業ユーザーには、有償サポートによる質の高いサポートを提供し、ユーザー満足度を向上させる一方で、企業にとっては安定した収益源となります。

 一方で、無償または低価格のソフトウェアやサービスでサポートが有償で提供されている場合、ユーザー同士がサポートをし合うコミュニティが形成される傾向があります。このようなコミュニティは、単なるサポートの場にとどまらず、企業のファンを育て、ブランドロイヤルティを高める重要な役割を果たします。ここには、税理士との協業の余地も大きいかと考えます。つまり、税理士を通じて実務的なサポートを行うということです。

 これらの場合、オンラインフォーラムやFAQの充実を進めることで、全体的なサポート体制のバランスを保つことも重要です。

ビッグデータの活用

 本来、マネーフォワード社はFinTech企業を目指していたはずであり、再びその本来の姿に立ち返るための戦略が必要とされています。その中核となるのがビッグデータの活用です。

 ビッグデータを活用するためには、まずはそのビックデータ収集するため、ユーザーを獲得する必要があります。このユーザー基盤を確立することが、FinTech企業として成長するための不可欠な第一歩です。現在は目先の利益に固執するあまり、利用料の値上げを続けてしまい、既存ユーザー離れを多々目にします。さらに、ユーザー獲得のための戦略が不足していることが大きな課題となっています。この結果、単に利用料を得るだけの企業に留まってしまい、データ活用を基盤とした本来のFinTech企業には至っていません。

 低価格、一層のこと無料でのソフトウェア提供を通じてユーザーを増やし、そのデータを活用するビジネスモデルを構築することが求められます。これにより、中小企業の経営支援プランを提案したり、業界トレンドを予測して新たな市場機会を見出すなど、データドリブンなアプローチを実現することが可能と考えます。

おわりに

 これらの提案は、私が考えるマネーフォワード社が抱える課題に対して具体的な解決策を示すものです。今後、同社が持続可能な成長を遂げるためには、FinTech企業としてのポジションを再構築し、これらの戦略を実行に移すことが重要だと思います。特に、ユーザー獲得が最大のポイントであり、そのための協業やデータ活用を通じた新たな価値創造が鍵となるのではないでしょうか。

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