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7.フィンランドのHEAVY METAL DISCO MUSIC = BEAST IN BLACK
BEAST IN BLACKはフィンランドで2017年デビュー。それぞれがキャリアを持ったベテランミュージシャンで結成されたスーパーバンドです。メタルは1970年代にBLACK SABBATHやDEEP PURPLEなどによって生み出されたとされていますが、50年近い歴史の中でさまざまなバンドが生まれて発展を遂げ、今では音楽性だけでなくファッション・スタイルなども含めた一つの世界観として楽しまれています。このBEAST IN BLACKはキャッチーなメロディと適度なアグレッションを持つ楽曲に王道のメタルファッションや世界観を組み合わせ、多様な要素を奇跡的なバランスで多くの人が楽しめるヘヴィメタルに昇華しています。
フィンランドは人口10万人当たりのメタルバンド数が50以上あり、人口あたりのバンド数では世界一のメタル大国。街中にはメタルTシャツを着た人も多く、メタルライブもしょっちゅう行われています。メタルは国民的娯楽であり、ライブは多くの人が楽しむもの。人々が笑顔になりながら腕を振り上げともにメロディーを口ずさむ風景が目に浮かびます。もともと北欧は冬の娯楽が少ないため独自のユーモアセンスを発展させてきましたが、フィンランドメタルにも非常に暗い世界観や攻撃的な音像を持ちながら妙にキャッチ―なメロディとか、笑っていいんだかかっこいいんだかわからないバンドビジュアルとか、どこか本気とも冗談ともとれるユーモアを感じます。それはフィンランドにおいてはメタルは異端の音楽ではなく、多くの人が楽しむメインストリームの音楽であることも関係しているのかもしれません。外に対して開かれた、親しみやすくそれでいて完成度の高い娯楽としてのメタルを奏でるバンドが多くいます。
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LORDIも面白いバンドです。KISSをさらに過激にしたようなビジュアルを持ちながら北欧らしいひねりのあるポップで口ずさめるメロディーを奏でています。
CHILDREN OF THE BODOMはアグレッションが強めですが、その中にもしっかりとしたメロディーがあります。
AMORPHISも、もともとは民族的なフォーク・メロディとデスメタルを組み合わせたバンドでしたが、さまざまな音楽を吸収し世界観を拡げているベテランです。
女性ボーカルで世界的成功を収めているのはNIGHTWISHです。こちらはクラシカルな美しさを感じさせる完成された音世界を作っています。
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2019年で日本とフィンランドは国交100周年。歴史を紐解くと数奇な運命から日本とフィンランドは第二次大戦の同盟国でもありました。戦後、日本に国際線が再就航したときもフィンランド航空は最初に就航した航空会社の一つです。ヘルシンキまでは直行便があり、実は日本から最も(時間的にも地理的にも)近い欧州諸国の首都です。