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9.MANGA愛溢れるフレンチ・ハードコア = RISE OF THE NORTHSTAR
RISE OF THE NORTHSTARは2008年にフランスで結成されたクロスオーバーバンドです。ヒップホップとメタルサウンドを合わせた、NU METAL等と言われるサウンドを奏でています。日本のマンガ文化の大ファンで、バンド名も「北斗の拳」から命名したとか。歌詞の中にも日本の地名やマンガのキャラクター名が頻出し、外から見た日本文化を感じることができます。2ndアルバム「SHIの伝承」は「SHI」を主人公とした物語で、SHIを漢字にすると四、師、士など同音異義語が多くありますが、そうした日本語の複数の意味を感じてほしいとのこと。単なるイロモノではなく、しっかりとした演奏技術と曲構成能力があり、耳に残るフックがあります。フランスは世界3位の日本漫画消費大国で、マンガは「manga」としてそのまま通じます。先日紹介したフィンランドのBEAST IN BLACKもベルセルクのファンで、ベルセルクや北斗の拳をモチーフにした曲があります。YAMANTAKA//SONIC TITANもAKIRAなどのアニメーション文化の影響を感じますね。日本人がハリウッドやディズニーを通してアメリカへの憧憬を感じたように、マンガを通じて日本への憧憬を感じる人々が増えているのでしょう。
フランス音楽はどちらかといえば「言葉を聞かせる」ものが多く、あまりこうしたフィジカルなバンドサウンドは少ない印象です。ライブで盛り上がるサウンドというと、今度は言葉を一切排したエレクトロミュージックになります。フランス音楽にはフランスやパリという土地への憧憬も含め、独特のリリシズムを感じます。
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今のフランスシーンを感じるアーティストを紹介します。ヒップホップだとOrelsanはリリシズムを感じさせるヒップホップの人気アーティストです。
エレクトリックだとVladimir Cauchemarらなど、独特の感性を持ったアーティストが多く出ています。
映画「アメリ」のサウンドトラックを手掛けたYann Tiersenや、フランス音楽の立役者(問題児?)serge gainsbourgなどもフランスらしさを強く感じるアーティストです。フレンチポップスについてはまた改めて触れたいと思います。