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プロフィール写真の目の先には、、すべてがみえる目の見えないビオラ弾きと、きちがい広場の天才たちが見えていた。

このnoteプロフィール写真の僕の目の前には、、、
目の見えないビオラ弾きがいた。
そして背後には、蛇使い、講釈師、アクロバット等々が、、
場所は通称「きちがい広場」と日本人から呼ばれていた、マラケシュのジャマエルフナ(Jemaa el-Fnaa)。

ビオラ弾きのおじさんの周りには誰もいなかった。
近づいて”Pouvez-vous jouer quelque chose” (何か弾いてくれますか?)と言うと、ビオラは立てたまま、チェロのように弓を動かして弾き始めた。ラマダンの時に聴いたことのあるリズミカルな旋律とは異なり、バッハのような威厳とのびのある一節を弾いてくれた。いろいろ話しかけてみたが言葉による返答はなかった。しばらくして、おじさんはうなずきと表情で答えていた。エトランゼでも解することのできる共通コミュニケーション手段で語っているのだ、しかも僕のおかしな発音のフランス語、近寄った時の足音、近寄り方と声をかけるときの位置、声のトーン、話し方、におい。、言語による意味よりも、もっと相手を知ることのできるすべてが彼には見えていたのだ。しばらく傍らにいて、そのことが伝わってきた。

そしてビオラは彼の生きざまを奏でていたようにみえた。弦はふくらみのある共鳴というよりは直に肌と耳に響き、ささくれたしわがれ声のようでいて、確かな音を放っていた。すべてを見て、相手の奥深くに語りかけることのできる。そんな天から舞い降りてきたようなビオラ弾きが、その日の時をマラケシュの広場で過ごしていたのだ。

10年以上前、やはりこの広場にいた天才のアクロバット、両手に楽器を持ち、カスタネットのように鳴らしながら、弾むボールのように天高く舞い、投げ上げる大人の腕に舞い降りてくる。そんな人間にはできそうもない天才たちのいたこの広場を、人にはできないことをやっているのだからと、、この広場は、「きちがい広場」と呼ばれたに違いない。

そうか、ここは、"Le Roi de Coeur" の広場なんだ、、、。
また行ってみよう。


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