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様々な要素が浮かびあがる立体的なピアノトリオ tryphonic インタビュー
(2018/8/24 新宿Pit Innでのライブ映像 )
スピード感溢れる美しいピアノ
芳醇な響きのコントラバス
サウンドに新鮮なアイデアをもたらすドラム
異なる要素と重なり合う要素が浮かんでは消える立体的な音楽。
tryphonicの音楽を聴いた時にそんな印象を受けた。
この夏、そのアンサンブルに光をあてるような楽曲と、そこから一歩踏み出して自分たちの音楽を掴みたいというアドリブが詰まったファーストアルバム(購入リンクはこちら)
その裏側をお伝えするべく、インタビューを行った。
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相性が良いような悪いような、でも試してみたら面白そう…
■このバンドをどう思うか
山田貴子 ピアノ(以下山田)
まったく違うルーツから今の音楽シーンにたどり着いた3人。違うからこそ尊敬できる部分がたくさんあります。そして常に音楽を楽しもうとする姿勢には何か似たものはあるのだと思います。違う部分と共有できる部分のバランスがすごく良いのかなぁ。もちろん人柄も含めてです。
斉藤良 ドラム(以下斉藤)
共犯者…というのは冗談だけど、それくらいの運命共同体であると思うし、良き理解者で、パートナーだと思ってます
小美濃悠太 コントラバス(以下小美濃)
実験場!と言えばしっくりきそうです。
まず、音楽面。貴子さんと良さん、バックグラウンドが全く違う二人で、相性が良いような悪いような、でも試してみたら面白そう…というところから、この3人でのツアーを企画しました。
読み通りぴったり来るところもあったし、そうでもない部分もあります。そこにどんな曲を書けば良いアンサンブルを引き出せるのか、試行錯誤しながらやっていくのが面白いかな、と。
それから、バンド運営の上での実験。他のバンドではできなかったり、ひとりでやるにはリスキーなことをtryphonicに持ち込んでいます。極小スケールでならバンド運営に関わることは一人でもできるんですが、行ったことない土地で演奏したり、それぞれ別のフィールドでプロモーションをしたりできるのは、共同でリーダーを務める大きなメリットだと思います。
実験というのはこのバンドのキーワードですね。
それぞれがすこし違うフィールドに向けて未知の音を試してる&楽しんでるけれども。
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ここからは個別に質問
>山田さんへ
このトリオの面白さの一つは山田さんと斉藤良さんがガチンコでバトルするような演奏だと思います。良さんはいろんな角度から新鮮なアイデア打ち返して来ますよね。その会話をどう楽しんでますか?
山田
まずは自分から積極的に自分の音を伝える感じで入っていくことが多いように思います。そこに自然と入ってくる良さんのアイデアには自然と音楽の流れに乗ったまま心地良く膨らんでいく感じを楽しんでいます。
それとは逆に予期せず!な斬新なアイデアに対しては、こちらもさらに何かを!!という気持ちにさせられますね。
沢山の美味しいものを並べられて、どれも美味しいけど、食べたことないものを食べて「なにこれ?!美味しい!」「これも食べてみて!!」みたいな感じでしょうか。笑
(山田貴子さん作曲 Born Under the Lucky Star)
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>斉藤良さんへ
カラフルなサウンドの楽曲をさらに彩ると言う意味では良さんの豊富な経験が活きている、良さんの音楽をすごく感じるトリオだと思います。いろんな経験の中で、例えばどんな経験がここに生きてますか?そしてこれからどうやって音楽を深めて行きたいですか?
これまでの経験から語るなら、人間同士の繋がりやコミュニケーションの積み重ねから生まれる信頼関係が音楽に与える影響は無視出来ず、そこを含めて共有していける感覚がtryphonicにはあると感じています。
今はアンサンブルの中でどんどん変化していく自分達の音楽を瞬間的にキャッチして、自分だけの方法論でそれに対してアプローチしていくっていうのを楽しんでいます。その感覚は先月のブラジル滞在での収穫とも言えます。我々の音楽をより深めていくには、更に緻密なコントロールと演奏時の対話力が今後の課題かなと考えていて、その結果よりオリジナリティに溢れてドラマチックなものが生まれると嬉しい。
(斉藤良さん作曲 Cala Rossa)
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>小美濃さんへ
異なるアプローチの二人を結びつけるようなベース、色が多くなりそうなところをまとめているのは小美濃さんのベースだけど、どんな事を大事にして音を置いたんでしょうか?
音楽のバックグラウンドも楽器の位置も、ちょうど二人の間にいるので、バランスを取ることを第一に考えています。対極にあるような二人の色を使って、グラデーションをつくる意識…と言えばいいでしょうか。
ビートに関しては良さんがタイトにキープしてくれているので、このバンドではメロディとハーモニーに重きを置いてプレイしていることが多いです。ソロイストとバックという主従関係ではなく、貴子さんに対するカウンターになるようにしている…つもり。
それから、先にも答えたようにこのバンドは実験場のようなところがあるので、ベーシストらしさを半分放棄している部分もあります。ベーシストらしくない立場にいて、どこまで音楽を成立させられるのかチャレンジしている、というか。二人をまとめているようで、実はまとめていないかもしれません。
(小美濃さん作曲のWhile You Stay Here, Everything Must Change)
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■これからバンドはどんなサウンドにしたいか、どんな活動が出来るか?
山田
それぞれのルーツを生かし、そこにこだわりつつも融合させた音を追求していきたいです。そのサウンドを三人が本当に楽しんでいる時間はジャズファンでなくとも伝わっていくと三度のツアーで確信したので、定期的なツアーと作品制作で日本全国はもちろんのことそこだけにとどまらず世界にまでも発信していきたいと思います。
斉藤
活動としては日本を飛び出して、海外でも演奏をしていきたいです。
小美濃
お互いの音楽的背景を持ち寄って何か作ってみる、という段階はもう終わったと思っているので、もう一歩踏み込んだサウンドにしたいと個人的には考えています。北欧っぽい、ブラジルっぽい何か、という作り方よりも、山田貴子へ、斉藤良への当て書きとして曲を書きたいと思っています。
今回の作品は、いろんなスタイルの曲を取り上げたCDになっていると思います。それをもっと一本の筋にまとめ上げて、「あ、このサウンドはtryphonicだよね」というものにするのが目標です。
それから、tryphonicの前身であるtre fargerではできなかった海外レコーディングをなんとか実現したいところ。これも、海外で録ると音が良くなるのか、という実験でもあります。
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常に進化と模索を続けるトリオ。その裏側をお届けしました。そんなtryphonicを生で体験しませんか。
次回のライブは
2018/10/17 Motion Blue Yokohamaにて
予約はこちらから
山田貴子 Takako Yamada / Piano
http://www8.plala.or.jp/takakohp/
斉藤良 Ryo Saito / Drums
https://ryosaito0707.jimdofree.com/
小美濃悠太 Yuta Omino / Bass
http://www.yutaomino.com/
星野泰晴 Yasuharu Hoshino / Photo,Movie,Writing
Movie Channel Organic Music Society
twitter https://twitter.com/Yasuharu_
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お読みいただきありがとうございました。
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