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A Path Appears

私が企画・録音した作品を配信し始めました。
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自身で作品を出す事は初めてでした。
今までの経験や学びを全部入れてやろう!という様な気合はありませんでしたが、沢山の音楽や人と関わった事が生きている作品にはしたいな、という気持ちで作りました。どうでしたでしょうか。webサイトも持っていないので、少しだけ背景が見える様な文章を残したいと思い、こちらに投稿します。(サイトはいずれ作ります。)


作品の背景
コロナ禍に入ってから、友人の音楽家である横山和明氏と一緒に音楽を聴く機会が増えました。どんな音楽がいい、ああ、こういう事だから音楽っていいよねと何度も話し。行き着いたのは、

・誰か自身のエゴを無理して表さなくとも、音楽がただ流れているだけで素晴らしい事。
・同じ空間で無理なくなっているアンサンブルが素晴らしい事。

「それ、一番ワクワクするメンバーで作ってみようよ」と話し、この録音企画がスタートしました。下北沢のジャズバーNo Room for Squaresを昼間お借りして、録音とセッションを繰り返していたこともあり、場所は慣れ親しんだこちらをお借りしました。

録音を自分たちで始めると、音楽をどういう質感で届けたらより良いのか、それには何をすればいいのか、そしてかつての名盤はどう作っていたか、今はどうしているのか。という話題になります。

Art Pepper meets the rhythm section録音の様子


上の写真は名盤Art Pepper meets the rhythm sectionの録音の様子ですが、雑然とした倉庫みたいな場所で、非常にシンプルなセッティングで録っているんですね。彼らができたんだから、今できない事もないと思い、録音に踏み切りました。

じゃあ、何を録ろうという事で、いくつか目標とする音楽の質感だけは頭に描いて現場に向かいました。それは、初めて聴いた時に「これ、一生聴きたいな」と思ったアルバムたち。

Charlie Haden / Nocturne
Charlie Haden & Pat Metheny / Beyond the Missouri Sky
Gregoire Maret,Romain Collin, Bill Frisell / Americana
Sachal Vasandani & Romain Collin / Midnight Shelter
Cassandra Wilson / Belly of the Sun

プレイリストにしてみました↓

そのエネルギーだけは参考に、ゆったりと、しかし2時間というあっという間な時間で録音されたのが本作です。


録ってからが大変でした。
曲順、タイトル、ジャケット、どれもが統一された肌感・空気感のものができないか。何処か希望が見えるものにしたいけれど、主語は大きくしたくない、ざっくりした表現にしたくない。居心地の良い寂しさと、温もりが同居するにはどうまとめたら良いのか。そんなことを考える中、昨年から読んでいたフェミニズム/韓国の文学の小説たちの、世界への期待と自分達の今を丁寧に描いた表現には、非常に勇気づけられました。自分や社会に対してどう関わるかどう発信するか考える中で、この作品も世界への期待と希望となれたらと思いました。

すごく個人的な話ですが、私は歩くのが好きで1日平均10キロは歩いています。タイトルどうしようどうしようと考えながら歩いていたですが、今年の春になって、歩く事、道がある事、当たり前に見えるけど、それ自体が希望なのではと思い始めました。

そうかそれは魯迅。

希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えぬ。それは地上の道のようなものである。地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ。
(我想:希望本是无所谓有,无所谓无的。这正如地上的路;其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。

魯迅『故郷』

この文章を思い出した時に、全部がつながったのを感じました。
音楽も同じじゃないかと、ずっと前から誰かが奏で続けてきたものを少し自分達でも演奏して、それが音楽という大きな流れの一部となる。自分の個性を無理に出さなくても音楽が流れているだけで素晴らしいんだと。
そしてこの音楽を聴いてくれる人も、その道を一緒に作っていく大事な仲間なんだと。そんな想いを『A Path Appears』というタイトルにして世界に放つ事にしました。

この音楽と私の活動は始まったばかりです。配信限定としましたが、レコードを作りたいし、第二弾のレコーディングもしたい。自分でも作品を作りたい。よかったら応援してください!

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