【教員発信】STEAMコース~PBL質問づくりWS~
安田女子高校STEAMコースは、2021年4月に新設されたコースです。
安田女子高校STEAMコースでは、「社会をより良くしていくための行動がおこせる21世紀型人材」の育成を目標に教育活動をおこなっています。今回はPBLの授業で、第二期生(高2)に対して質問づくりのワークショップを実施しましたので、その様子を報告します。
★質問づくりとは
とにかく質問をたくさん作り、開かれた質問と閉じた質問の書き換えをおこない、最後に優先順位をつけるという活動です。
きっかけは、あるオンライン交流会で、他校の探究活動の実践を聞かせていただく機会があり、その学校で参考文献として使われていたという『たった一つを変えるだけ(クラスも教師も自立する「質問づくり」)/ダン・ロススタイン、ルース・サンタナ』という本を読んで、質問づくりに興味を持ったことです。アイデアを膨らませたり(発散思考)、絞り込んでいったり(収束思考)する活動で、デザイン思考×システム思考に非常に親和性の高いプログラムだと思っています。
★ワークショップの流れ(前半)
本来は1コマ程度で実施できるプログラムですが、今回は45分2コマ構成で、ゆったりとしたペースで実施しました。(教員はファシリテーターとして、時間管理や説明役に徹します。)
まず、いつものトランプを使ったくじで4人チームに編成。チェックインでは、先週の「修学旅行のおもいで」を語り、場をあたためました。
本の構成にのっとって、まずはルール説明(ただルールについて話し合う過程は省きました)。その後、簡単に例示をして、雰囲気を理解してもらいました。そして記録係を決め、「STEAM」というテーマで質問を作りました。各チーム、20前後の質問を出すことができました。
そして、開いた質問と閉じた質問の説明。生徒は、この言葉を初めて聞いたと言っていましたが、内容的には知っている様子でした。そして、自分たちが出した質問を開いた質問と閉じた質問に分類しました。
その後、開いた質問と閉じた質問のメリット・デメリットを各グループで考えてもらい、共有しました。(ここで、1コマ目が終了しました。)
★ワークショップの流れ(後半)
後半は、開いた質問と閉じた質問の変換から始まりました。5W1Hを使って閉じた質問を開いた質問にしたり、ポイントを絞って開いた質問を閉じた質問にしたり。かなり頭を使うワークです。各チームとも元の質問から50~60%の質問を新しく作り出していました。(ここまでが発散思考の過程)
ここからは、収束させる段階です。今回は「重要度」に着目して、3つの質問を選び出し、その理由を考えます。チーム内で合意形成を図るステップでもあるので、話し合いも盛り上がっていました。予定(10分)を延長したのは、今回のワークショップではこのパートのみでした。
最後に、各チームが選んだ質問とその理由を全体共有しました。同じ質問を選んだチームも若干ありましたが、かなりバリエーションがありました。理由もチームの個性が出ていて、多岐にわたっていました。
★ふり返り
やっぱり最後はふり返りが大事です。時間は3分程度と短くなりましたが、集中して書いてくれました。
~~感想より抜粋~~
・重要だと思う質問を選んだときに、「なんとなく重要そう」という理由を言語化するのが難しかった。
・他のチームの意見も共有して、自分では気づかなかったことも発見できて、共有することが大事だと思った。
・思ったよりも質問を作るのに頭を使いました。普段考えないことを考えたので、すごく楽しかったです。
・開いた質問から閉じた質問に変えるのがとても難しく、観点を考えながら質問を変えていく力も必要なんだなぁと思いました。
・質問をたくさん考えてみて、改めてSTEAMとは何かを考える良いきっかけになった。
・できればもう少し深掘りしてSTEAMについて知ることができたらよかったけど、得られたものが多かったので、またこういう授業をしたいです。
■ 執筆者:安田女子高校STEAMコース主任(3年目)
教員歴24年(理科と情報、専門は物理)。
趣味は読書、好きなことは謎解き、好きな食べ物は粒あんです。
コロナ禍と同時期に発症した右の五十肩がほぼ治ったと思ったら、左の五十肩が発症、徐々に症状が悪化中。