映画「JUSTANOTHER」
結成38年を迎えるthe原爆オナニーズのドキュメント映画「JUSTANOTHER」(大石規湖 監督)公開初日にks’シネマに見に行った。
未見の方もいるので内容は割愛するがタイロウさんとメンバーの皆さんの言葉、その関係性のリアルさ、大石監督のカメラ1台の距離感にドキドキして血が沸いた。複数台のカメラやジンバルが誰でも使える時代になったが、ライブハウスで撮るパンクやロックはハンディカメラ1台で勝負するのが一番いいと改めて気づかせてもらった。また、大石監督が「ライブ感を感じてもらうためにラストシーンの音にこだわった」と舞台挨拶で話していたが、ライブ映像の音としては最高のバランスだったと思う。
本来あそこまで人間を追いかけるドキュメントを撮ると、どこか泥臭い世界観になりがちだけど、監督が音楽映像で培った音やカット割のキレやセンスがそれをまったく感じさせない映画にしている。
いうまでもなくタイロウさんはかっこいい。ブレずに1つの道を探求し走り続けるその在り方は映画に出てくるGAUZEやeastern youth、ken yokoyamaにも同じ在り方を感じるし、大石監督も同じだと思う。前作「MOTHER FUCKER」のタイトルもその内容も、今回の「the原爆オナニーズ」というバンド名も決してマスメディアには露出されない。でも、映画を創ることからするとそんな些細なことはどうでも良いことで「撮りたい伝えたい」だけでいい。それこそまさにパンクの初期衝動だし、作品を創るためのなにより強い動機だ。60歳前にして今更ながらthe原爆オナニーズとJUSTANOTHERという映画にケツを叩いてもらった。昨今やたらコンプライアンスがどうのとウザい時代になったが、本当にどうでもいいし時間の無駄だ。そんなことに囚われていることの馬鹿らしさも痛感できる映画だった。
初日のks'シネマは満席。久しぶりに満席の映画館で映画を観た。緊急事態宣言時に新宿の映画館がどれほど大変だったか知っていたので満席は嬉しかった。k'sシネマの家田さんは初めて飲みに行った時に原爆オナニーズのTシャツを着ていたほどパンクな方で初日に僕が行くととても喜んでくださった。上映後には大石監督を紹介して頂き、バンドを撮るその距離感とかラストシーンの技術的なこととかを話させてもらって楽しかった。機会があったらパンクムービーを撮ることについてまた話を聴きたいと思った。