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つまづいて転んでも編集の日々
Mac studioついに届く
3月に注文したMac Studioがやっと届いた。
M1 Ultra、メモリ128GB、内蔵SSD4Tb、という化け物じみたスペックで
映像やCG制作のプロ以外には全く必要のない代物。
新しいマシンは嬉しい。
高い買い物なだけに。
なのでたまには映像編集や仕上げ、パソコンのことなど書いてみる。
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Macbookで創った映画「素晴らしき日々も狼狽える」
今回の映画「素晴らしき日々も狼狽える」は、編集仕上げ、映画館納品用のデータDCP(デジタルシネマパッケージ)の制作→USBへの書き込み納品まで、
全部自分のMacBook Proで編集した。
最後にWALK INN STUDIO!でMA(音製のマスタリング)を終えて完成させた。
一番の難関だった映画館に納品するDCP作業は、
中澤正行さんのnoteを教科書にさせていただきました。
中澤さんの記事がなかったらDIYではできなかった。
本当にありがとうございます。
DCPデータ仕上げは自分でやったことがなかったので、映画館に予告編納品したときも不安だったけど、大きなスクリーンで無事に上映された予告編を見て胸を撫で下ろした。
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DIYな映画
「素晴らしき日々も狼狽える」は、撮影、主演、録音、照明、編集、MA仕上げ、広告デザイン、宣伝広告、配給をすべて自分達でやっている。
「僕らの街は、僕らで創る。」
をテーマにしたWALK INN FES!の映画なので、できるだけ自分達でやってみようという試み。映画制作経験者は僕1人だけなので、いかにWALK INN STUDIO!が自分のできることに壁を作っていないチームか分かる。
頭にイメージできたことは実現できる。
だから思いついたらやってみる。
できない時は「俺にはできないだろうな」という考えが実現しただけだと思っている。
パソコンで編集ができないテープの時代は、自分のカメラで撮影はできても編集仕上げはスタジオに入らないと完成させられなかった。
スタジオは1時間で何万もしたので、
MVの仕上げで100万円掛かることもあり、
とても自主制作などできない時代だった。
今やそれが映画館の大きなスクリーンで見られる作品を
ノートパソコン1台で完成させることができるなんて、
とんでもない時代になったもんだ。
僕のMacBook Proは2018年モデルでメモリ32GB、内蔵SSD1TB。
appleの整備済製品(apple Store店頭で展示されていたPCをレストアしてapple自ら中古として安く販売している)で37万円くらいで買った。
この4年間で何十本ものMV、CM、テレビ番組を創ってきたことを考えると安い投資だし、これからも使い続けると思う。
34TBの動画素材
PC編集は最初はwindowsでシステムを組んでいて、編集ソフトはAdobe Premiere Proを使っていた。
2007年に携帯、PCを全てappleに変えたのでFainal Cutに移行、Fainal Cut 7まで使用していたが、Fainal Cut Xで使いづらくなってPremiereに移行した。
映画「素晴らしき日々も狼狽える」は、2014年~今日までのWALK INN FES!の膨大なアーカイブ素材と映画用に撮影した素材を編集をしているので、素材だけで34TBもある。MacBook Proは内蔵1TBだけなので、外付けのSSD9台を2台のSSDタワーに積んで、それをMacにUSB-Cで繋いで編集した。
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そんなに沢山の素材だとプロジェクトに読み込んで立ち上げるだけで結構時間がかかる。
その上に映像13トラック、音声11トラック、それにグレーディング(色やテイストの加工)、エフェクトなどをかけるとそんなにスムーズには動かない。
でも、「とてもやっていられない」ほど遅くないのがMacBook Proのすごいところ。
普通の4K動画編集くらいならこのMacBook Proで問題ない。
しかし、さすがに今回の映画の素材量では結構苦戦した。
しかも、途中でアップデートしたPremiereProにバグが多くフリーズしてしまうことも何度かあった。
でもまあ、なんとか映画を仕上げた後にMacStudioが届いた。
もう少し早ければ。
間に合ってない。
と思ったが、僕がMacStudioを購入した直後にAppleが一斉値上げをしていきなり18万円くらい高くなったからヨシとした(現金な奴)。
Macで1番スピードが出るのは、内蔵のハードディスク(SSD)。
だから、撮影した動画(1つのライブ撮影で約500GB以上)を
一旦デスクトップのフォルダに入れて内蔵SSDで編集して完成させ、
編集が終わったらフォルダごと外付けハードディスクに保存する。
だからデスクトップに撮影動画をたくさん入れられるように
内蔵SSDを4TBにした(8TBは高くて無理だった)。
で、下の画像が実際に測った外付けのSSD(左)とMacStudioの内蔵SSD(右)のスピードの比較。
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外付け「231MB」、Mac「6484MB」。なんと28倍のスピード(笑)。
素人が見てもその差は歴然だ。
実際、編集してもその快適さは変わらなかった。
直近で2つの作品を仕上げるので、そのときにまたスピードを体感できる。と思う。願う。
ちなみにディスプレイとキーボードは、15年も前に買ったものを
まだ使用している。
新品は合わせて25万円くらいするのでやめた。
それだけ出せば新しいmac Air買えるし。
実際、15年前のものでも作業に困ることはない。
apple製品は高いけど良い個体にあたれば本当に長持ちする。
その昔、グラフィックデザイナーの友人が会社辞めて独立するのに
親に300万円借りてMacProを買った時代もあったので、
それに比べれば安くなったものだ。
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4Kはいらいない。
今回買ったMacStudioは10年は使いたい。
いや、できれば死ぬまで使いたい。
今、動画の画質はFULL HD(1980pix)が主流だったが
4Kに移行していて、すでに8Kも出ている。
しかし、HDで十分だ。
それ以上、精細に写して見たいものも良いものもほとんどない。
微生物の顕微鏡や惑星の表面動画など、
研究に使う特定の被写体にはいいかもしれないが、
好きな女優の毛穴などまったく見たくない。
いまでも見えすぎるのに、これ以上見える必要は全くない。そもそも開発者という人種はどんな分野でも
性能があがれば良いと思っている節がある。
彼らは曖昧なところに存在する美しさとか色気に疎い。
理系の悪いところが性能に現れているのである
(ヘイトスピーチ該当削除)。
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今回の映画「素晴らしき日々も狼狽える」の撮影は、
プロと素人、一眼レフカメラとビデオカメラとGoProとスマホが
すべて混在して撮影されている。
普通の人が見ても、その違いはわからないだろうし、
とてもきれいなシーンもたくさんあるが、
画質云々は本質ではない。
そもそもWALK INN FES!自体がメジャーとインディーズ、
プロと素人、あらゆるジャンルの音楽が混在していて、
その垣根を取り払うことがテーマの1つでもあるのだから、
カメラの画質や種類の混在などノー問題。
ということで
そのジャンルの垣根を超えた混在具合は、
映画館でご覧いただけます(営業)。
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