自由貿易 VS 保護貿易
前提
自由貿易を考える際に、モノの自由貿易と人の自由貿易を分ける必要があります。
今回はモノの自由貿易に限って、話を進めていきます。
結論
結論から言えば、自由貿易は経済学的には”基本的に”良いことです。
食料自給率のウソでも述べましたが、食料は国内のみで生産するより、様々な国から輸入した方が、リスク分散できるので安定供給できます。
理由
まず、自由貿易の大原則は、「モノの流通量が増え、価格が安くなる」です。
これを押さえたうえで、話を進めていきます。
例えば小麦を例にとりましょう。
前提として、自由貿易促進をすれば、小麦の価格は安くなります。
それによって、消費者は得をしますね!
また小麦を輸入する際の関税がなくなるため、外国農家はウハウハです。
逆に国内の農家は、競合が増えるので売上が落ちてしまうため、損をしてしまいます。
そして最も重要なのが、食品加工業界が得をすることです。
ここでいう食品加工業界は、パン屋やケーキ屋、菓子メーカーなど小麦を加工した商品を売っている会社です。
小麦が安くなることによって、彼らが売る商品は原材料が安くなるので、供給量が増え、利益の拡大に繋がります。
供給量が増えるということはその分、人を雇う必要があるため、雇用の拡大にも繋がるということです。
まとめ
つまり、農家を保護するために関税を設けるということは、その他大勢の犠牲を払うということです。
経済学では、まず全体にとって良い政策をし、損する分野には個別対応するのが一般的です。
そのため、自由貿易は全体的な利益が大きいため、望ましいと言えます。
一方で、損をする農家には、関税を無くす代わりに補助金をつけて対応することが望ましいです。
実際に各国ではそのような対応をしています。
財源は主に、関税を下げることで得られた全体の利益からです。
日本ではなぜ自由化が進まないのか
上記に書かれたことを実行すれば良いのですが、国内にはそれを阻む「既得権者」がいるのです。
それは「農林水産省」と「農協」の存在です。
現在の農業保護政策は、関税を設けた上で農水省が予算を組み、農協を経由して農業振興で産業育成をしています。
政府が農家に直接保障しようとすると、中間搾取している農水省と農協が猛反対しているのです。
そのため、自由化を進めるには、農水省と農協の改革する必要があると思ってます。
具体的には、農水省を経産省に吸収し、農協の改革も必要でしょう。
懸念点
ただ、自由貿易にも懸念点はあります。
それこそ、自由貿易の話でよく出てくるTPPですが、「知的財産」や「投資条項」への懸念があるという指摘があります。
実際にインフレ目標を提唱したクルーグマンなどの経済学者はそれを理由に反対しています。
ただ、自由貿易の拡大自体には反対している訳ではありません。