内部留保の考え方でわかる!日本の現状
現在の経済状況でよく問題視されるのが、企業の「内部留保」というものです。
実際、アベノミクス以降も積み上がっていることから、大企業優遇と批判される元凶です。
内部留保は、正確には「利益余剰金」で、現預金だけでなく、土地・設備といった固定資産も含むので、全てが現金という訳ではありません。
まず大前提として、企業はお金を持っているだけでは利益を生みません。
そのため、何らかのモノに交換するのが常識です。
企業活動は、常に新たな商品開発をし、利益を生み、より企業を発展させるというのが目的です。
そのため、企業が内部留保を蓄えるという行為は、本来の企業活動の目的に反しています。
各学派の内部留保への考え方と対策
これまで、「古典派経済学」「オールドケインジアン」「ニューケインジアン」のそれぞれの考え方を学んできました。
ここからは、それに「マルクス経済学」も加え、それぞれが考える内部留保への考え方と対策を考えていきます。
古典派
古典派は、企業が投資をせずに内部留保を蓄えるのは、有望な投資先がなかったり、規制がジャマしているからだと考えます。
その対策として、投資を行える環境を整備するために、規制緩和や構造改革、法人税減税といった政策で、投資を促していきます。
竹中平蔵さんがその典型ですね!
オールドケインジアン
オールドケインジアンは、企業が投資をしないのは、需要不足で商品を作っても売れないからだと考えます。
その対策として、政府がお金を使い、需要を増やして企業に投資を促していきます。
山本太郎さんがその典型ですね!
マルクス派
マルクス派は、経済は資本家による労働者の搾取だから、資本家がお金を蓄えるのは当然と考えます。
そのため、搾取された賃金を適切にするために最低賃金の引き上げや内部留保課税を主張します。
代表的なのは、枝野幸男さんや福島みずほさんでしょう。
ニューケインジアン
ニューケインジアンは、企業の内部留保は人がお金を蓄える理由と同じと考えます。
例えばよく「高齢者がお金を持ちすぎてる!」と言われますが、その原因は病気になったときの不安、つまり将来に対する不安があると考えています。
それが企業の内部留保にも言えるということですね!
その対策は、金融緩和でお金を増やし、お金の価値が減ると予測させ、お金の流通速度に働きかけることが重要だと説きます。
代表的なのは上念司さんですね!
A国での例え
そうは言っても、難しいですよね笑
A国という仮の国で例え話をしましょう!
A国の国民は、田んぼで稲を育てていましたが、長い間、水不足に悩まされていました。
そんな状況に対処しようと、国内では各学派の経済学者が解決策を議論していました。
古典派「水不足の原因は環境変化のせいです。そのためこの環境変化に対応した稲の品種改良が必要なのです!また国民の働き方にも問題があるので、もっと効率的に農作業をできるようにしましょう!」
オールドケインジアン「稲の育ちが悪いのは、水がないだけなので、他所から水を引いてくればいいのです!私が池の水をポンプでくみ上げ、田んぼに流して解決します!」
マルクス派「水不足の原因は、一部の地主が水を独り占めしているからです!彼らの貯め込んだ水を分配すれば、みんな平等に稲を育てることができます!」
ニューケインジアン「みなさん、川上のほうを見てください!あそこにダムが見えるでしょう!この国では、20年前からダムのバルブが閉められていて、水不足はそのせいなのです!」
ニューケインジアンがそう言うと、他の経済学者が大爆笑しました。
他の経済学者「国内最高の経済学者たちが、20年かけても解決できていない問題の原因が、そんな理由だと本気で思っているのか?」
ニューケインジアン「嘘だと思うなら、バルブをひねってみなさい。」
ニューケインジアンにそう言われ、A国大統領が試しにバルブをひねると、
古典派「バルブをひねっても、水は流れて来ないか、あるいは大洪水を起こすぞ!仮に水が流れてきても一時的で、そんなことしたら生産力拡大を阻害してしまうぞ!」
ニューケインジアン「生産力拡大には反対しませんが、それは水がちゃんと流れるようになってから言ってください!」
オールドケインジアン「ダムの水を使うのは良いアイデアだが、バルブをひねっても田んぼに水が流れてくるとは限らないぞ!」
ニューケインジアン「はい。水が流れてくるには時間がかかるので、あなたのポンプで水を流してくれると助かります!」
オールドケインジアン「いやいや、水は田んぼに流れつかないから、水を流すのは俺のポンプで調整するよ!」
ニューケインジアン「でも田んぼまで水が流れ着いても、ポンプで水を流し続けたら水浸しになってしまうので、そしたら止めてくださいね!」
オールドケインジアン「いや、お前が止めろ!田んぼに流れる水の量は全部俺が調整するから!」
ニューケインジアン「それはダムのバルブで調整するより、かなり難しいと思うのですが…。私は流れにくい田んぼに流してくれるだけでいいのですが…」
オールドケインジアン「うるさい!お前は俺が田んぼに水を流すのに反対なんだな!」
マルクス派「お前が水を流しても、その水は地主たちが貯め込んでいるだけじゃないか!」
ニューケインジアン「ずっと水を流せば、地主たちも貯め込んだりしませんよ!それに流れた水は、貧しい農家の田んぼにも流れて来ています!」
マルクス派「いや、この水はこの前雨が降ったせいで、お前の流したダムの水じゃない!」
そうこうしていると、財務省の官僚がやって来てこう言いました。
財務官僚「将来の水不足に備えなければなりません。そのため、先ほど流したダムの水は、吸い上げさせていただきます。」
A国は再び水不足の恐れが出てきましたが、経済学者は一斉にこう言いました。
「ニューケインジアンが言ったことはデタラメだったじゃないか!」
悲しいですが、これが今の日本の状況です…
あと、ダムの水に限りがあるなら、政府が水を増やせば解決します。
国債発行しろということです!
参考
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