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【髪質改善】酸熱トリートメント徹底解説!
こんにちは、Qnoir青山でフリーランス美容師をしている小川泰明です。
巷での流行はやや落ち着いた感がありますが、、
ようやくというか、満を持してと言いますか、わたくし小川もついに【髪質改善】というものに手を出すことになりました。
髪質改善とは何なのか?
酸熱トリートメントとは何者なのか?
そんな疑問をこの記事で詳しく解説していきます。
かなり長尺の記事になりますが、、
ご興味のある方、美髪になりたい方はぜひ最後までお付き合い頂ければと思います。
1.髪質改善とは?
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何はともあれまずはここからだと思います。
とっても耳障りの良いこの言葉ですが、「一体何のことなの?」と思われている方も多いかと思います。
髪質改善という言葉が、我々美容業界で聞こえるようになってから10年近くが経つかと思います。
当初はその実態を、一般のお客様はもちろん我々美容師もきちんと理解できないままに言葉だけがひとり歩きしていたように感じます。
ここでは、長い時間をかけて自分なりに噛み砕いた【髪質改善】というものを皆さまにお伝えしていこうと思います。
単刀直入に言いますと、髪質改善とは美容師が名付けた「キャッチーで耳障りの良いただのワード」にすぎません。
もう少し深掘りすると、髪質改善は美容室でできるすべてのメニューに当てはまります。
カット、カラー、パーマ、縮毛矯正、トリートメント、ヘッドスパetc.
実はそれらすべて髪質改善と呼べるものなのです。
カット→傷んだ部分をカットすることで髪質が改善される。
カラー→褪色した部分に色が入ることで艶が出て綺麗に見える。
パーマ→硬くてまっすぐだった髪がパーマをかけることで柔らかく動きやすくなる。
縮毛矯正→クセで広がる髪がまっすぐになりおさまる。
トリートメント→ダメージでバサバサだった髪がしっとりとした手触りに改善される。
ヘッドスパ→頭皮の血行が良くなることで新しく生えてくる髪に栄養が行き渡る。
いかがでしょう?
これまでも美容室で髪質改善と呼べるものはちゃんと行われていたんです。
髪質改善の本質は、その人の髪の悩みを解決するものに他なりません。
少し乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、昨今巷で話題となっている髪質改善と呼ばれるものは「見た目ではっきりと映えを確認することができる施術」という本来の髪質改善という言葉の意味とはややズレが生じてきている、そんな風に小川は感じております。
2.髪の毛の見た目と中身のお話
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非常に勘違いを起こしやすいんですが、
実は、ツヤツヤな髪=健康な髪、というわけではないんです。
反対に、ざらざらの髪=ダメージしている髪、というわけでもありません。
アイロンやコテで高温の熱を加えればどんなダメージした髪だってツヤツヤになります。
髪のクセの強い方はどんなにトリートメントを行ってケアをしてあげても、くせ毛特有のざらざらとした手触りは劇的には良くなりません。
トリートメントをしたあと髪がしっとりするのは髪に栄養が入ったことによるものではなくて、髪の外側をシリコンが包んだことによる効果だったりします。
自分の元へ通って頂く顧客様はご存知かと思いますが、自分が現在扱っているシステムトリートメントはすべてノンシリコンでコーティング作用はゼロのため、手触りは劇的には良くなったりしませんが、髪内部にはかなりの栄養補給がされているので、髪のコンディションはしっかりと向上しています。
「髪の見た目や手触りと、髪本来の健康状態はイコールにはならない」ということを覚えていて欲しいんです。
3.酸熱トリートメント
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そしてここからが本題です。
この度小川が新しく導入するメニューがこの酸熱トリートメントと呼ばれるものです。
こちらの酸熱トリートメント、既に巷ではひとつの大きな流行が落ち着いたところなので、後発も後発、大きな出遅れを経てやっと導入に踏み切りました。
とは言え後発のメリットももちろんあり、先発の失敗やデメリットを限りなく減らすことが可能になっております。
まず酸熱トリートメントをするとどうなるのか?と言うと、先述の「髪の毛の見た目と中身の状態」を双方ともを限りなく向上してくれるものになります。
ざっくり言うと、髪の見た目も良くなるし、髪のコンディションも良くなるよってお話です。
酸熱トリートメントのメカニズムを簡単に説明すると、酸と熱の力で髪内部に新しい結合を作ることでツヤのある髪に導いてくれるものです。
シャンプー→薬剤塗布→お流し→ドライ→ストレートアイロンでの熱処理、が一連の施術工程になります。
4.酸熱トリートメントの仕上がり
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上の写真は酸熱トリートメント施術後のお客様の仕上がり写真です。
毛先にブリーチ3回(!)という履歴があり、毛先に強いパサつき、全体的に広がる髪質で、まとまり・収まりが悪いコンディションでした。
上記の写真はとても綺麗に見えるかもしれませんが、ストレートアイロンをした後なので綺麗なのは、実は当然なんですね笑
ちなみにインスタにおける「#髪質改善」の画像や動画はこのストレートアイロン後の仕上がり画像がほとんどかと思います。
数週間後に再び髪を洗って乾かしたときがリアルな仕上がりになります。
はい、ここまで偉そうに言ってるので、リアルをお見せしないわけにはいきませんね。
この先をお見せするのは美容師としてはなかなか緊張感がありますが、、嘘偽りない真実をご覧頂きたいと思います。
この次の写真は、施術後2週間が経過して再びご来店頂き、シャンプードライのみをした仕上がりになります。
ストレートアイロンはもちろん、ブローもなし、オイルもなし、ただただ乾かしただけのリアルな仕上がりになります。
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撮影用だからと特別なことは何もしていません。
あえてそのまんま、乾かした後に髪をとかしたりすらもしていない状態です。
動いた毛先もそのまま動きっぱなしにして撮影しているので、限りなくリアルに近いかと思います。
むしろちゃんと毛先が動いてくれるので、ぺったりすることなくとても自然な仕上がりになってくれます。
残念ながらbeforeの写真がないのですが、施術前は乾かした後にかなり髪が広がってお困りの方だったのですが、ご本人曰く「施術後2週間経ってもまとまるから手入れが楽」とのことでした。
個人的にも明らかなツヤ感の向上と広がりの軽減が確認でき、また手触りの良さの持続性も感じられました。
酸熱トリートメントの効果の持続期間は髪質や手入れ方法にもよりますが、約2ヶ月ほどは持続すると言われています。
5.酸熱トリートメントのメリット
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酸熱トリートメントがもたらす効果は以下のようなものがあります。
・髪の収まりが良くなる
・カラーやパーマによるダメージの補修
・細く弱い髪にハリコシを与える
・ツヤ感
・エイジング毛のうねりやパサつきを抑える
6.酸熱トリートメントの注意点
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意外とたくさんあります。
・すべての髪に効果があるわけではない
・クセがまっすぐ伸びるわけではない
・ヘアカラー、パーマとの同時施術は不可
・ヘアカラー、パーマ後の酸熱トリートメントは3週間程の時間差が必要
・パーマ毛はパーマが緩くなる可能性がある
・水に濡らすとやや臭いが出る
・ダメージにつながることもある
デメリットについてはひとつひとつ詳しく解説していきます。
すべての髪に効果があるわけではない
ダメージを受けていない健康な髪には効果がありません。
そして硬く太い髪にはあまり効果がないと言われていますが、写真のモデルさんは髪が比較的太くて硬い髪ですがそれなりの結果が出たのは、髪がダメージしていたからだと思われます。
クセがまっすぐ伸びるわけではない
あくまでダメージやエイジングなどが原因で髪が弱ったことで出たクセは伸びたりしますが、先天的なクセ毛がまっすぐにはなりません。
クセをまっすぐしたい方には縮毛矯正の方が効果として実感できるはずです。
ヘアカラー、パーマとの同時施術は不可
酸熱トリートメントは酸性領域の薬剤のため、アルカリ性のヘアカラー、パーマを同時に施術するとお互いがその作用を打ち消し合います。
同時施術が可能なサロンさんも散見されますが、基本的には酸性とアルカリ性という正反対の施術になるので相性が良いものではありません。
ヘアカラー、パーマ後の酸熱トリートメントは3週間程の時間差が必要
こちらも上記と同じ理由になります。
ヘアカラーやパーマをしてアルカリ処理がしてある髪は、ある程度アルカリの反応が治まるまで酸性での施術は不可になります。
特にヘアカラーとの相性の悪さは顕著で、酸熱トリートメントによってヘアカラーの色が落ちるので、ヘアカラーした直後は酸熱トリートメントはできません。
ヘアカラーやパーマ後の酸熱トリートメントの施術は3週間程度、反対に酸熱トリートメント後のヘアカラーやパーマは最低2週間程期間をおいて頂くのが理想的です。
パーマ毛はパーマが緩くなる可能性がある
酸熱トリートメントはストレートアイロンで熱を与えることで髪に新たな結合を作り出す施術のため、ストレートアイロンでの仕上げが必須です。
パーマ毛、特にパーマをかけてから時間が空いていない方や、もともとパーマが取れやすかったり定着しづらい方は、酸熱トリートメントの施術によってパーマが緩くなる可能性を孕んでいます。
水に濡らすとやや臭いが出る
こちらは以前から比べると薬剤の進歩によりかなり改善されていますが、髪を濡らすとやや臭いが出てきます。
とは言えとてつもないほどの悪臭などではなく、パーマの後に薬剤の臭いが髪に残るような、そんなイメージを持ってもらえればと思います。
ダメージにつながることもある
ここは最重要項目です。
酸熱トリートメントは期間を空けずに続けて行うことで効果を高める、と一般的に言われてはいます。
ただ酸熱トリートメントを繰り返すことで、髪の毛が酸性に偏りすぎてしまうことで過収斂を起こしてしまいます。
過収斂を起こした髪は手触りも硬くなり、パサつきやゴワつきが出て、最悪髪が切れてしまうことにも繋がりかねません。
これが酸熱トリートメント最大のリスクであり、最も多い失敗ケースだと言われています。
このような悲劇を起こさないために、髪のコンディションを見ながらひとりひとりに合ったペースで施術をさせて頂きたく思います。
7.これから酸熱トリートメントをされる方に伝えたいこと
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酸熱トリートメントはトリートメントという名前がついてはいますが、髪の毛のphを大きく動かすデリケートな施術でもあります。
非常に高度なトリートメントであるということ、そして万人に効果の出るものではないということ、むやみやたらに何度も行うものではないということ、これらをしっかりとご理解頂いた上で施術をさせて頂けるとうれしく思います。
また施術後最低24時間はシャンプーはもちろん、髪を濡らすのもNGで、仕上がりの状態のままお過ごし頂くことも付け加えさせてください。
酸熱トリートメントも含めたいわゆる髪質改善と呼ばれるメニューは、まだまだ発展途上であり更なる可能性を持った施術でもあります。
自分自身、何年もの間幾度となく導入を検討しては保留を繰り返していましたが、この度晴れて導入することになりました。
圧倒的なツヤとまとまり、滑らかな手触りは今までの施術では出せなかったもので、是非体験して頂きたいと思っています。
やってみたい!という方は是非是非お気軽にご相談くださいませ。
長文に最後までお付き合い頂きありがとうございます。
小川泰明