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NotebookLM(Google)を調べてみた(2025年1月15日〜Google WorkspaceのBusinessプランで、RAG的に使えるAIサービス)

Googleが提供する「NotebookLM」について調べてみました。
結論としては、Google Drive 上の文書を対象として、RAG 的に使える AI サービスになります。


RAGとは

RAG とは、Retrieval-Augmented Generationの略称で、LLMの出力を向上させるための手法です。単に言語モデル単体でテキストを生成するだけではなく、以下のような流れで「外部の知識」を組み込みすることができます。

  1. クエリの生成・解析
    まずユーザの質問やリクエスト(クエリ)に対して、どのような情報が必要かを言語モデル(または別のモジュール)が判断します。

  2. 外部データソースへのクエリ
    必要な情報が含まれているデータソース(ウェブ検索、データベース、独自のドキュメントなど)に対してクエリを投げ、関連する文章・知識を取得(リトリーブ)します。

  3. 取得した文脈(コンテキスト)をもとに生成
    取り出した文章などの外部知識を「コンテキスト」として言語モデルに与え、それをもとに最終的な回答や文章を生成(ジェネレーション)します。

RAG は「知識を取りに行くパート(リトリーブ)とテキストを生成するパート(ジェネレーション)を組み合わせた枠組み」であるため、次のような利点があります。

  • 正確性の向上:事前学習中に含まれていない新しい情報や専門的な情報を外部から取り込み、誤った推測(いわゆる“幻覚”)を減らす

  • アップデートの容易性:新しいドキュメントやデータを参照するだけで、モデルを再学習しなくても最新情報を回答に反映する

NotebookLM とは

NotebookLM は、ドキュメントをもとに AI が質問に答えたり要約したりできるサービスです。特徴は以下の通りです。

  1. Google 製のサービス
    Google Drive 上のドキュメントを指定すると、その内容を要約したり質問に答えます。また、ユーザーがアップロードした PDF や Google Docs を直接参照し、回答を生成します。

  2. RAG 手法の応用
    NotebookLM は「ユーザーの持つドキュメントを検索(リトリーブ)し、その結果を LLM に渡して回答を生成する」という構造になっており、これは実質的に RAG を活用したアプローチです。ただし、NotebookLM はサービス名・製品名であり、RAG はあくまでも一般概念手法になります。

Google Drive 上のドキュメントなどを参照し、以下のユースケースを実現できます。

  • 文脈に応じた回答・要約:たとえば研究論文やレポートをアップロードした場合、その文書の内容や要点を NotebookLM 上で質問すると、AI が該当文書の内容を反映した回答を返してくれる

  • 整理やインサイトの発見:いくつかの文書を横断して比較・分類などを行い、洞察や新しい視点を得られるようにサポートする

  • ドキュメント連携のシームレス化:Google Drive や各種 Google Workspace と連携し、普段使っている文書・ノートを簡単に AI で解析する

RAGとNotebookLMの違い

RAG は、LLM を強化するための一般的な設計思想(検索+生成のフロー)です。一方、 NotebookLM は、Google Drive 上の文書を対象として、RAG 的に使える AI サービスという位置付けです。
よって、NotebookLM は RAG の一種の実装例・応用例と見ることができますが、RAG という枠組みは NotebookLM よりも広い概念といえます。

  1. 立ち位置
    RAG
    :アーキテクチャ・手法の総称
    NotebookLM:Google の特定サービス

  2. 目的
    RAG
    :多様なデータ源(ウェブ検索や専用DB含む)からの情報取得を含む、LLM の拡張フレームワーク
    NotebookLM:主に Google Drive 上のユーザ文書を対象とし、要約・Q&A などを提供するツール

  3. 適用範囲
    RAG
    :幅広いシステムやプロダクトが採用可能(自社システムに実装、検索エンジンと連携 など)
    NotebookLM:現時点では Google の実験的サービスであり、対応領域や機能は Google Drive を中心とした範囲

  4. サービスの枠 vs. 技術コンセプト
    RAG
    :どのようなシステムでも “検索+生成” のパターンを実装すれば RAG と呼べる
    NotebookLM:Google 提供の特定プロダクトであり、UI や機能群、Google エコシステムとの統合が特徴

NotebookLM と NotebookLM Plus の比較

NotebookLMには、個人利用向けの「NotebookLM(無料)」 と企業等向けの「NotebookLM Plus(有料)」の2つのサービスがあります。
違いは以下の通りです。

NotebookLM(無料)の概要
・PDF、Web サイト、Google ドキュメント、スライド、YouTube URLのデータをアップロード可能
・ワンクリックで要約、FAQ、タイムライン、ブリーフィング資料を作成
・オーディオデータも作成可能
・回答には、アップロードしたデータの引用が付与
最大100のノートブックを作成可能
・各ノートブックには最大50のソース(各ソースは最大50万語)
・1日あたり最大50回のチャットクエリーと3回のオーディオが作成可能

NotebookLM Plus(有料)の概要
最大500のノートブックを作成可能
・各ノートブックには最大300のソース
・1日あたり最大500回のチャットクエリーと20回のオーディオが作成可能
・NotebookLM(無料)の機能の他に、プレミアム機能へのアクセス(以下の3点)

  • 「チャット専用」ノートブックの共有
    ノートブックを他のユーザーと共有することができます。 ノートブック全体へのアクセス権を他のユーザーに与えることも、チャットのみのアクセス権を与えることもできます。詳細はこちらをご覧ください。

  • チャットの詳細設定 
    好みの応答スタイル(「ガイド」や「アナリスト」など)を選択したり、ニーズに基づいてカスタムスタイルを作成したりして、ノートブックをカスタマイズできます。 また、出力の長さを選択することもできます。詳細はこちらをご覧ください。

  • ノートブック分析 
    ノートブックを他のユーザーと共有した場合、ユーザーのアクセス数やクエリー数かなどのデータを見ることができます。

2025年1月15日に、Google WorkspaceのBusinessプランおよびEnterpriseプランにおいて、AI リサーチ アシスタント(NotebookLM Plus)が使えるようになったと発表がありました。今まではアドオンの購入が必要でしたが、Businessプランの価格で利用可能となります。
この変更により、多くの企業でもNotebookLM Plusが利用できるようになることが予想されます。

「NotebookLM」を使ってみた

NotebookLMの利用説明は、以下の記事でまとめていますのでご覧ください。


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