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PdMをもっと深く知る_#6_お金を払ってでも使いたいと思わせるのは楽じゃない

前回までで『第1部 データを活用して優れたプロダクトを作る』を見てきました。第1部では次の項目について理解しました。

#2:ソフトウェアプロダクトが主体なビジネスには「戦略(ビジネス)」「運用(定量)」「顧客(感情・定性)」の3つの目標がある。これをプロダクトに関与する人たちの共通の目標にする

#3:目標達成の進捗を測るメトリクスの種類と選び方

#4:運用(定量)と顧客(定量)データからインサイトを見つける方法

#5:顧客(感情・定性)データの計測方法

今回からいよいよ第2部で、有料ユーザーへのコンバージョン方法についてみていきます。
文字数:約3,500

参考図書

第2部 プロダクトは顧客体験の中心にある

・ここからはプロダクトを使って顧客の価値を高めるとはどういうことかを理解していく
プロダクトを使って潜在的なユーザーの認知を得る方法から、有料顧客に変えるための効果的なプロダクトの活用まで理解していく
プロダクト主導型組織とは、プロダクトが顧客体験全体の中心に位置づけられる
・典型的な顧客のライフサイクルを時間軸に沿って見てみる
①Top of the Funnel (TOFU)
・ある人や企業が見込み客になったとき
②デモ/トライアル
・試してから買うが当たり前になってきている
・見込み客の最初のエンゲージメントはまずプロダクトを試してもらうこと
③購入/コンバージョン
・トライアルユーザーにROIを証明するのに十分な機能を提供し、もっと使ってみたいと思わせなければならない
④セットアップ/オンボーディング
・有料顧客になると関係性が劇的に変化する
・顧客を「初めて」「期待」から「楽しい」「夢中」という状態に確実に転換させる
⑤アクティベーション
・顧客がプロダクトの魅力を発見し続けるために、早い段階で満足させる必要がある
顧客の期待に早く応えて、それを超えていかなければならない
⑥クリティカルイベント
・関係性における初期段階の目標は顧客に同じことを繰り返してもらう(習慣化させる)こと
⑦アップセル/拡大/更新
・満足した顧客に対してさらに価値を提供できる方法を考える
⑧アドボケイト
満足している顧客は最高のマーケティング担当者であり、ビジネスの代弁者にするために可能な限りの手段を講じる

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P23、24、112〜113

5.プロダクト主導型のマーケティング

◼️ユーザーがマーケターになる

①レビュー機能
・プロダクト主導型で重要なのはユーザーレビューであり、顧客がプロダクトを見つけ、プロダクトについて学ぶ手段がレビューとなる
・SEOもアプリのマーケティングも、設定して終わりでなく、結果を評価しキーワードを微調整してアプリのレビューやダウンロード数を増やす方法を探す
・レビューはプロダクトの認知度に影響を与えるので、あらかじめどう言われるか予測しておく必要がある
否定的なレビューに対しては、その問題に注意を払い対処を早急に始める
・プロダクトデザイナーは喜んで熱心に利用してくれるユーザーに対してレビューを残してくれるように、優しく促す方法を見つける必要がある

②Referral(紹介)
・ブランドやプロダクトのアンバサダーとしてプロダクトの普及に貢献してくれるユーザーをアドボケイトという

③プロダクトに見合ったリード
マーケティングチームはリードをスコアリングしてMQL(Marketing Qualified Lead、ホットなリード)としてアクションしていく
・PdMとして重要なことはユーザーが最終的にお金を払ってくれるように最初の体験や第一印象を素晴らしいものにすること
PdMはPQLs(Product Qualified Leads)と呼ばれる、無料トライアルに登録したりプロダクトに興味を示してくれているユーザーに対してアクションしていく
すなわちPQLsとは、プロダクトを利用していて有料顧客になる可能性が高いと思われる行動をとった潜在的な顧客
・プロダクト主導型組織では、PQLsをコンバージョンさせることを視野に入れてユーザーの行動の理解をすることが重要

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P114〜121

◼️購入前のトライアルとフリーミアム

フリーミアム戦略を展開する際には、コンバージョン目標を設定しつつ、Whyから始めるを忘れないことが重要
・フリーミアム戦略の利点は、ユーザーは多くの場合、無料と有料のソリューションに対して異なる期待を抱いている
人はお金を払ったものに対しては、払ってないものよりもずっと批判的になる傾向がある
・無料だから粗悪で良いわけではないが、無料は有料よりもDIYなことが多い。つまりいじくり回すのが好きで自分でセットするのが苦にならない開発者をターゲットにすることが多い

◼️無料の課題
・フリーミアムにおいて、何を提供し何を提供しないかのバランスが難しい
・実際にプロダクトを試してもいないのに、お金を払うことに対して、腹を立てる人が多い
・これを避けるために、ユーザーが何をできるのかを前もって明確にしておくことが鍵となる
何を提供するかしないかの判断にはプロダクトの分析結果に頼るのが良く、顧客が何を使っているのか追跡できるほど、良いフリーミアム戦略のバランスをとり易い

◼️無料の摩擦
・トライアルによる定着化を阻むものとして、登録(オプトイン)と解約(オプトアウト)の容易さ
・プロダクトの粘着性を高めるためには、面白いものにしなければいけない

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P121〜129

6.ユーザーを顧客に変える

・この章では、無料ユーザーをどうやって有料ユーザーにするか(コンバージョン)について考える
・無料トライアルを提供する理由は、ユーザーやPQLsを最終的に有料顧客に変えるため

<コンバージョンに向けたアプローチ>
①利用制限
・トライアルが終了する前にユーザーに注意を促す
予め制限条項がなにか、制限条項に達するまでの道筋が見えるようにする

②ヘビーユース
「一定期間に何度もログインしている」「何時間も使っている」「利用可能な機能を何度も使用している」「利用可能なアドオンをインストールしている」といったメトリクスからヘビーユースを見極めることができる
・こうしたユーザーには、有料版でさらに強力な機能が利用できることを伝えることが重要

③高度な機能
・相対的に価値の低い一般機能を提供した後に、より高度な機能でマネタイズする

④プロダクトの成果
・プロダクトを利用して得られた結果を追跡してユーザーに見せることで、アップグレードをアピールできる

<コンバージョンを計測し、最適化する方法>
①利用状況を追跡し、コンバージョンし易いユーザーの行動を把握する
②健全性を把握する指標を設ける(NPS、定着状況、機能継続状況など)
③具体的な目標値を設定する
④アプリ内メッセージングをまとめた資料を作成する
⑤どのコンテンツがうまくいって、どのコンテンツがうまくいっていないか計測する

プロダクト・レッド・オーガニゼーション
顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築
ISBN 978-4-8207-2955-6 C3055
P130〜134

<#6_お金を払ってでも使いたいと思わせるのは楽じゃないの所感>

今回のセクションは自分にとっても身近で分かり易かったです。
最近フリーミアムがあまりに当たり前で、無料ユースの中でどこまで使い倒すが一種のモチベーションにすらなっている人も多いのではないでしょうか。

アプリが多すぎて、だいぶ粗悪なフリーミアムも多いのが現状だと思います。
先日mp3音楽プレイヤーアプリをiPadにインストールして使ったのですが、

広告が全面を塞ぎ操作不能
広告を閉じるボタンがどこにあるか分からない
再生している音楽よりも大きな音で広告の音声が鳴る

これはユーザー体験としてあまりにも劣悪で、広告を無くすためだけの有料会員というシンプル過ぎる戦略に幻滅しました。

フリーミアムの中で「楽しい体験」を含めて、有償で「もっと楽しい」を作らないといけないです。


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