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大学生のレポート:経済成長~表面的な成長の犠牲とは~

2018年10月21日 日曜日 20:39
約2900文字

ざっくり目次
・使命感からの成長
・豊かさという原点
・あるべき姿
・食品添加物
・企業の広告:フルーツジュース
・iPhoneのバッテリー
・おわりに

※パソコン画面でnoteを見た時に、サムネイルと一緒に、少し文章が目に入ります。その時に目次が目に入ると、このnoteに興味があるのかどうなのかをよりサッと判断してもらえるかな?という思いから、ここにあえて目次を挿入してみました!

毎回恒例、大学生のレポートシリーズです!
では早速内容に入ります!


使命感からの成長

日本の経済は第二次世界大戦後から著しい発展を遂げた。その背景には豊かな欧米諸国の経済に追いつかなければならないといった使命感のようなものがあった。順調に日本のGDPは拡大を続けていた。バブル景気が後退した時期にも大規模な経済政策によって数値の上では成長を続けた。

そして90年代後半になると景気は停滞し、GDPの水準は伸び悩んでいた。それでもなお、菅直人首相、安倍信三首相らは経済成長を目指した政策を推し進めていった。

豊かさという原点

しかし1980年代以降からは、目に見える形でのGDPの拡大、すなわち「物質的な豊かさ」よりも「精神的な豊かさ」を求める人が多くなってきたということが「国民生活に関する世論調査」より明らかになった。

経済学者のケインズも1930年の著書の中で「非経済的な目的に対してより一層の勢力をささげる道を選ぶ社会の到来」を予測していた。

また、「幸福の政治経済学-人々の幸せを促進するものとはなにか-」ではGDP一万ドルの水準を超えると、「所得の増加と幸福度あるいは生活満足度の関係性は弱まる」と述べられている。

経済的な成長を目指すことも人間の物質的な欲望を満たすことも悪いことではない。しかし「成長」にこだわり、生産の増加を追い求め続けることは自然や環境を破壊するという代償を伴うこともある。

ここで一つ議論となるのは、数値的な成長のために犠牲になるものに目をつぶることが許されるのかという点だ。数値の上で成長を続けていく社会が人々にとっての「本当の豊かさ」に繋がるのだろうか。本論ではいくつかの例を挙げて、成長の裏に隠れてしまっている影の部分に注目していく。

あるべき姿

ここで社会という大きな括りから、もっと小さい範囲でわかりやすい例を挙げて考えてみたい。

まず思い浮かぶのは食品だ。今の市場には大きく分けて二パターンの製品があるように感じる。一つは質を重視した高価格のもの、もう一つは安いが食品添加物などが多く含まれる低価格のものだ。

大学生活で自炊をするようになった消費者としては、値段の高い人工的な添加物を使っていない商品に比べると身体に良くないことがわかっていても安い食品を選んでしまう。顧客の価値観によるものというよりは、企業側の経営姿勢によって安い食品が市場に蔓延したと考える。企業の経営者が、食べ物の質や味よりもその企業自体の繁栄や生産の効率を優先したことが原因だ。本来の食品としてのあるべき姿は、当然人の体に害のあるものが含まれていてはならない。しかし今の現実では、企業が利益をあげるための効率を重視するが故に私たちの健康状態が添加物によっての影響を受ける場合がある。

食品添加物

ここで具体的なソルビン酸という保存料の名前を取り上げてみたい。この物質は食品安全委員会によって、ソルビン酸類に由来する副生成物、ソルビン酸類と他の食品添加物等との相互作用に関連して、発がん性、生殖発生毒性及び遺伝毒性に関する試験成績が報告されている 。保存料として多く使用されるソルビン酸は、日持ち向上剤に置き換えることができる。

しかし、この日持ち向上剤は指定の保存料に含まれないため商品パッケージに記載する必要はなく、これは保存料無添加として捉えられるのだ 。(なかには調味料やpH調整剤と記載されることもある)

この事実をみると、もはや企業のやりたい放題としか言いようがない。利益を追い求めるためにならどんなこともしてしまうというのが、言わば企業の実情ではないだろうか。

安い価格でかつ保存料が表示されていないものがあれば多くの消費者は数ある製品の中からそれを選ぶだろう。だが先ほど触れたようなカラクリがある場合も否めないということだ。企業は、言ってしまえば合法で「嘘の表記」をして売り上げにつなげることができ、私たちは知らない間に騙されているのかもしれない。

企業の広告:フルーツジュース

ほかに考えられる例としては企業の広告が思い浮かぶ。どの企業から発売されている100%フルーツジュースをみても、広告には「家族の健康を健やかに保つ果実の健康成分をたっぷり含んでいます」などといった売り文句が載せられている 。

だが、津川友介【カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授】の「医学的に「健康に良い食べ物」は5つしかない・ほとんどの健康情報はエビデンスが足りない」によると、果汁100%のフルーツジュースが健康に良いという考え方は正しくない。実はフルーツジュースと加工されていない果物とでは、健康に対する影響が180度異なることがわかっているのだ。最新の研究によると、フルーツジュースを多く飲んでいる人ほど糖尿病のリスクが高い一方で、果物の摂取量が多い人ほど糖尿病のリスクは低いことが明らかになっている 。このように企業は自社の製品をより多く市場に出して利益をあげるためなら、誇大広告に終わらず虚偽広告をも作ることが出来てしまう。

iPhoneのバッテリー

ここまで食品関連で例を挙げてきたが、次はもっと私たちの身近にあるアップル製の携帯電話の例に注目する。話題になったニュースとして、一部のiPhoneにおいてバッテリー劣化時に性能をわざと落としている問題は大きな問題となった 。アップルは「リチウムイオン・バッテリーは、周辺温度が低かったり、充電があまりされなかったり、老朽した状態では機器を保護するために突然電源が切れることも起こりうるので、こうした現象を防ぐために性能低下機能を導入した」と主張した。

欧米などでは集団訴訟も起こされているが、Appleでは迅速に公式に謝罪と説明を行い、対応措置として電池交換費用を割り引いて実施した。しかし、これは間違いなく消費者に対して新製品への買い替えを促して、新製品の売上を伸ばすためのものだと考えられる。

おわりに

社会においての「成長」から話を始めたが、どの例においても問題となっているのは形の上での利益や数値の増大に目がくらんで社会に対しての不利益を生んでいる点である。

功利主義的な発想で、全体としての利益を追求する際に発生する犠牲に目をつぶるということが黙認されていいはずはない

社会に存在する仕事に意味のない仕事はないはずで、それぞれは需要があって存在している。個人や集団といった様々な形の顧客がそれぞれにニーズを抱えている、そんなニーズに応えていくことが本来の企業の在り方というものではないだろうか。

企業はある製品分野の専門知識を持っている集団と考えることが出来る。その分野のプロフェッショナルとして社会にいい影響を与えていくことも企業の役割の一つである。

このような利益以外の「大切なこと」を忘れたまま利益追求だけを優先した行動をする人間が多くなっていくと、社会は裏切りの連続となってしまうに違いない。そんな社会であるからこそ、集団の中の一人一人が「物事の本来の意味」についてもう一度考えなおしていかなければならないのではないだろうか。

参考文献:プレリュード国際関係学


最後まで読んでくださってありがとうございます!
また次回のnoteでお会いできるのを楽しみにしています👋

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僕のnoteを読んでくださって、ありがとうございます!お金という形でのご支援に具体的なリターンを提示することは出来ないのですが、もしサポートを頂いた際は、僕自身の成長をまたnoteを通して報告させていただけるように頑張りたいと思っています。