![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117734573/rectangle_large_type_2_7d0776397f05c10b7e4bfdda4f34995e.jpg?width=1200)
ジュースの名前
koyomiの定番は「紫式部」「グリーングリーン」「ゴッホ」「セサミムーチョ」、そして「ピーターラビット」。人気の高いシーズンジュースとしては、ドクターイエロー、美女と野菜、モモタロー、ミスター酵素、ブラックジャック、吾輩は菌である、などもあります。
一体何のジュースなの?という有難いご指摘も多数。今日はジュースの名前についてお話ししてみたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117735009/picture_pc_51fc086a1622a89df0bb3b0bfd92f217.png?width=1200)
コールドプレスジュースは素材そのものの栄養価を最も効率的に摂取できることが特徴であるため、実際に何を入れるかが重要です。なので、一般的にはジュースの素材配合レシピを固定化して、メニューにします。ジュース店としては、メニュー化している商品のレシピの素材は常にストックしておく必要があります。そのため、日本各地をリレーして時期毎に素材を仕入れることで、レシピを成立させる必要があります。
一方、野菜を作ってくれている農家さんはどうでしょう。農作物の一番の特徴は、「無い時は無いし、ある時はどっさりある。採れてみないとなんとも言えない」。また、私達が扱うオーガニック野菜は化学肥料や合成農薬に頼らない自然に寄り添った方法で栽培されるため、それぞれの旬の期間は短く、収穫量も年によって大きくブレることも普通に起こります。
気象条件や害虫の影響で、一つの作物が全てボツになることにも立ち会ったこともあるますが、いずれの場合でも農家さんは状況を受け入れて、立ち直る。強いな、と心から思います。自然を相手にしているのだから、仕方がない。言うのは容易いですが、その道を貫く人が暦を重ねる毎に凄みを増すことも頷けます。
オーガニックとは、人間・動植物・微生物など全ての生命にとって平穏且つ健全な自然環境を保つための仕組みです。オーガニック野菜を扱うのであれば、私達もその仕組みにしっかりとマッチする事業を設計する必要があります。協力してくださるオーガニック農家の皆様に寄り添うことを一番に考えた結果、メニューを作る際に、レシピで縛るのではなく、コンセプトで縛れば良いのではないかと考えるようになりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117735975/picture_pc_ae86b66645c4da0632b2bc229e7f65b3.png?width=1200)
紫式部は、飲む輸血と言われるビーツを主体とする総合的な健康ジュース。紫式部はあの時代にあの立場であの様なエッジの効いた物語を描くくらいだから、相当カッコイイ女性だったんだろうな。と勝手に想像も加えて、きっと紫式部の十二単も季節毎にお洒落に衣替えしたりして、と。たっぷりビーツを入れることだけは一年を通じた決まり事にして、一緒にミックスする野菜と果物は旬次第としました。
グリーングリーンも然り。ケールが主役。朝取れの新鮮ケールを使うことで、ケール本来の甘みを感じて頂くことに重きを置いて、一緒にミックスする野菜と果物は旬次第。
ゴッホについては、「黄色のビタミンジュース」がコンセプト。ゴッホが群馬の夢を見たらどんな黄色を使うのだろう。ゴッホは季節や情緒に応じて黄色を使い分けたことで有名です。季節を通じて変化する群馬の黄色は、見た目にも楽しく、旬のビタミンを豊富に含んでいます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117736327/picture_pc_1861ee09ccdeca9eae0d529fb3f81ff1.png?width=1200)
この様に、コンセプトで縛ると、農家とkoyomiに自由度が生まれます。レシピの呪縛から逃れ、コンセプトを軸に臨機応変にレシピを変更することができる。毎年、毎シーズン、毎月、農家様では色々な出来事が起きます。それに一喜一憂するのではなく、それを受け入れる。今では、koyomiの食品ロスゼロにも大きく貢献してくれています。
農家さんとの関係についても、koyomiが一般的な仕入れ先とは違うことを農家さんから言って頂ける様にもなりました。買い手として、こちらから素材の種類と数量を指定して発注する場合、農家との会話はそこで終わります。しかし、「農家さん、今特に出荷したいものは何かありますか」という姿勢で会話を始めると、そこから会話が始まります。想像もしていなかった話しになったりして、期待していなかったアイディアにありつくことも多いです。koyomiの新商品やキャンペーンの多くは、「農家さん今、どんな感じ?」の会話から得たヒントから生まれたものばかりです。
そんな感じで、レシピではなく、コンセプトを軸に旬を紡ぐこと。自然の摂理に身を委ね、群馬の旬を紡ぐことに徹してきました。最初の一年、常に5-7種類のジュースメニューを成立させることが出来て、なんとか胸を撫で下ろしました。2年目は1年目を基本コピーすればOKと思いきや、2年目は2年目なりにまた別の年であり、素材毎の豊作/不作はバラバラです。結果、全てのジュースにおいて、2年目は1年目に定番化したジュースは全て登場しましたが、レシピは1年目とは異なるレシピになりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117736397/picture_pc_2773aad0de8163bdf1c9f38261781919.png?width=1200)
日本には古くから地産地消の考え方があって、季節毎にカラダが求める栄養素を含んだ異なる野菜を上手に取り込む文化がある。和食はその極みだ。慣行栽培技術と流通技術によって、本当の旬を感じることが難しい現代だからこそ、いにしえの「当たり前」は新鮮に映る。結局、同じ名前のジュースが、毎月ミックスを変えることについて、お客様は疑問よりも好奇心を持って接して下さっています。
勿論、栄養価のバランスや、pH値、糖度なども見ながら、レシピは違えど、それぞれのジュースのコンセプトはしっかりと達成される様にレシピを調整します。それこそが私たちの腕の見せ所です。自分たちが出来る事は精一杯やり、自分たちの力が及ばないことは自然に委ねるというスタンスを自然体で取れる様になってきました。私達なりに自然と同調しており、とても気持ちが良いです。
これだけでもジュースの名前に大いに救われているのですが、ジュースに個性的な名前をつけていると、当初は想像していなかったことも起こる様になりました。ジュース宛にファンレターが届く様になったのです。血圧が下がった、コレステロール値が下がった、便秘が解消したなどなど。栄養満点のジュースはお客様の体内に取り込まれ、その名前がお客様の心の中で擬人化されたのです。深い意味でジュースの内容にご納得頂けたからこそ、「紫式部様へ」というお手紙を頂戴できたのだと、とても感動しました。
koyomiでは毎日新鮮なジュースを生搾りしています。オーガニック野菜の素晴らしいところはその栄養価に加えて、その発色です。その鮮やかな発色は実に美しいです。
それぞれのコンセプト纏い、名前を授けられた色とりどりのジュースが、毎日色々な人の健康に寄り添うべく飛び立っていく。
だんだんと、ジュースが正義の味方に見えてきたのは、私だけでしょうか