オーソドックス
私達は自然の力を信じています。自然には「幸せの連鎖」が当たり前の様に、あちらこちらにあります。自分らしく、懸命に生きるたくさんの動物や植物、微生物たちは、大きな視野で見るとそれぞれの営みが見事に調和しています。
私達は時に「人間と自然環境」を分けようとする。人間 vs 自然の関係性ではなく、人間も自然の一部として見方を変えれば、見える世界は大きく変わると思います。
私達も動植物に見習って自分らしさを大切にできたら、それはきっと自分自身を幸せにすることにもなるし、そのハッピーは溢れ出るので、周りも自然にハッピーになる。
自分らしくあること、それは本物であること。
自分自身の内面と向き合い、本物であることを自分自身に語りかける際に、古典に照らすと立体的に理解できると感じます。
今日はkoyomiがコールドプレスジュースを作るにあたって大切にしている「オーソドックス」についてお話しします。
オーソドックスは日本語では、古典的とか正統的と訳すのが自然でしょうか。私は幼少期をスウェーデン、中学・高校をアメリカで過ごしました。大学卒業後、入社した会社では入社翌年から10年間タイに駐在していました。
「ジュース」の文化を考える際、欧米でのジュースの捉えられ方と、日本のそれでは大きく異なることに気づきます。欧米の食生活にジュースはつきもので、ホームメイド野菜ジュースは母の味、ジュースは自然由来の健康食品と広く浸透しています。一方、日本では市販の炭酸飲料や濃縮還元といった工業製品としてのジュースの普及が日本におけるジュースの歴史でもあり、ジュースが日本では「自然由来の健康食品」として食文化に浸透している訳ではない様です。タイは南国フルーツが豊富なので、フルーツの生搾りのジュースやココナッツウォーターは常に生活の一部です(野菜メインのジュースの文化ではない)。
私が知るそれらの地域だけでもジュースに対する文化が違う。ジュース文化について後進国である日本としては、欧米や東南アジアからオーソドックスを学ぶのが本物への追求に欠かせない。そこで、コールドプレスジュースのオーソドックスを習得すべく、アメリカオハイオ州の先生とハワイ州の先生を、そしてフルーツの使い方についてタイの料理家を頼りました。
三人の教えにを抽出したエッセンスが以下の3点。これにはとても納得していて、今ではkoyomiのオーソドックスとして、不動の土台となっています。
(1)オーガニック野菜/果物を使うこと
(2)必ずレモンと生姜を入れること
(3)毎日飲みたいと思うほどに美味しいこと
(1)オーガニック野菜/果物を使うこと
“オーガニック素材を主体とすること”。まず、ジュース文化が根付く欧米のコールドプレスジュース店の殆どはオーガニック野菜/果物を原料としています。それはオーガニック食材の流通が日本より進んでいるからとも言えますが、一般消費者の農薬による健康被害への意識/リテラシーが欧米の方が日本より高い(高くなった)からとも言えます(過去20年間の変化については別の機会に話したい)。コールドプレスジュースは水分や甘みを加えず、素材そのものを生搾りするもので、大量の野菜を使うため、最も栄養価が高く、体への吸収率も高いハイグレードのジュースとされています。その特徴から、欧米では仮にオーガニックではない慣行栽培の野菜で作るコールドプレスジュースに対しては、「大量の農薬を効率良く摂取してどうするの」と拒否反応がすぐに出てしまう。日本から少しZoom Outして、世界を見てみると、「食の安全」、特に農薬の使用・添加物の使用について、日本が他先進国に比べて遅れていることがわかる。でもそれこそがチャンス。日本の農地面積におけるオーガニックの比率は全体の0.6%。オーガニック素材を使うこと、これがkoyomiの指針となり、koyomiが農家様の知恵を借りながら、今の事業モデルを作っていくことになります。
(2)必ずレモンと生姜を入れること
“レモンは酸化防止、生姜は殺菌効果を目的に全てのジュースに入れること”。コールドプレスジュースのレシピは①土台に何の野菜/果物を使うか、②フォーカスしたい栄養価の種類と分量、③生姜/レモンの分量を考える。コールドプレスジュースは非加熱ジュースであるため、製造過程の洗浄と保管中の温度管理を徹底する必要があります。それでも生の野菜をそのまま絞るとどうしても生臭さが出てしまう。そこにレモンと生姜が風味アップに効果を発揮する。どのジュースにも通年、生姜とレモンを入れること。言うは易し、行うは難し。
koyomiでは広島県のオーガニックレモンと高知県のオーガニック生姜を使っています。レモンと生姜の高い栄養価は推して知るべし。そして、主役の野菜が味自慢の野菜達なので最高のパートナーが必要だと言う理由から、レモンと生姜は最高級品の規格外品を使っています。これを巨大な冷凍庫に冷凍保管しながら、日々のジュースに使っています。あるフランス料理家のシェフがトリュフを使う際に冷凍してから擦り下ろして使う、その心を「粒子が細かくなった方が風味が広がる」と語っていました。レモンも生姜も同じです。専用機械で大根おろし状にすり下ろされたレモンと生姜の風味を最大限絞り出しています。冷凍は調理。koyomiが食材の冷凍技術を高めることに一生懸命なのはこれが理由です。
(3)毎日飲みたいと思うほどに美味しいこと
“ジュースは生活習慣に取り入れられるものであり、美味しくなくてはならない”。老若男女にとって美味しいと感じられるものでなければ、続かない。甘みによる「口で感じる美味しさ」ではなく、栄養価を「カラダ全体で感じる美味しさ」。「毎日Feelin Goodでいたいでしょ?毎日漲るにはどのくらいのスーパーフードが必要か、カラダで感じること」。ジュース文化の料理家の言葉は重い。繰り返し自分自身の体で経験していくと、カラダが満足する「濃さ」が分かってきます。中には苦味やクセのある野菜もあるが、「良薬カラダに旨し」。私達はそれぞれのジュースでフォーカスすべき栄養価を決めたら、まずその野菜をたっぷりと入れ、そして、味は「毎日でも飲みたくなる美味しさ」を堪能評価、pH調整(レモン塩梅)、甘み(フルーツ利用)などの調整を経て、日々のレシピを作っています。因みに紫式部(ビーツのジュース)250mlパウチに野菜/果物が750g程度使われますが、その半分がビーツです。これはウクライナやロシアの方でも濃口と仰って頂ける濃さですが、私達はこれが「気持ち良く漲る」と思っています。
これら3つの大切な学びはkoyomiの北極星となり、ジュース作りの道標になっています。
koyomiのお客様におかれましては、koyomiのジュースがオーソドックスであることにご安心頂き楽しんで頂けたらと思います。